ピラティスは「効いている感覚」が大切?正しい身体の使い方と本当の効果を考える

ピラティスのレッスンをしていると、お客様やインストラクターから「この動きは効いている感じがしない」「こちらの動き方の方が筋肉を使っている気がする」という言葉を聞くことがあります。

自分の身体の感覚を大切にすることは、ピラティスにおいて重要です。

しかし、自分が感じていることと、実際に身体の中で起きていることは、必ずしも一致しているとは限りません。

今回は、ピラティスにおける身体感覚、基本的な動作の重要性、そして本当の意味での上達について考えてみたいと思います。

筋肉に「効いている感じ」があれば、効果があるのでしょうか?

運動をするとき、私たちは筋肉の収縮や疲労、身体の緊張など、さまざまな感覚を経験します。

例えば、腹筋運動を行ったときにお腹が疲れると、「腹筋に効いている」と感じるでしょう。

一方、同じ腹筋を使う運動でも、強い疲労感がなければ「効いていない」と感じる人もいます。

では、筋肉に強い刺激を感じることが、運動の効果を判断する基準になるのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

筋肉の活動には、関節を動かす働きだけでなく、姿勢を保持したり、関節を安定させたり、複数の筋肉が協調して運動を調整したりする働きがあります。

また、深層筋と表層筋は、それぞれ独立して働くわけではありません。

身体の動きや負荷に応じて、さまざまな筋肉が協調して働いています。

そのため、特定の筋肉に強い収縮感がなくても、その筋肉が活動していないとは限りません。

反対に、強い収縮感があるからといって、目的とする運動が適切に行われているとも限らないのです。

「効いている感覚」と「実際の筋活動」、さらに「長期的な運動効果」は、それぞれ区別して考える必要があります。

見た目が正しくても、身体の中で何が起きているかはわからない

マシンピラティスでは、リフォーマーやキャデラックなどの専用器具を使い、さまざまなエクササイズを行います。

例えば、リフォーマーのフットワーク。

脚を伸ばす、曲げるという、一見すると非常にシンプルな動作です。

しかし、この運動には股関節、膝関節、足関節の協調だけでなく、骨盤や体幹の安定など、さまざまな要素が関係しています。

見た目にはきれいに脚を伸ばしていても、どの筋肉がどの程度働いているか、深層筋と表層筋がどのように協調しているかを、外から見ただけで正確に判断することはできません。

もちろん、本人の感覚だけでも判断できません。

筋活動を詳しく調べるには筋電図などの測定方法がありますが、それぞれに測定上の限界があり、特に深層筋の働きを正確に把握することは簡単ではありません。

だからこそ、ピラティス指導では、一つの情報だけで身体の状態を決めつけないことが重要です。

姿勢や動作の観察、本人の身体感覚、運動前後の変化など、複数の情報を組み合わせて考える必要があります。

また、深層筋を強く働かせること自体が、必ずしも運動の目的ではありません。

大切なのは、その運動の目的に対して、身体が適切に働いているかどうかです。

ピラティスは基本的な身体の動きを学ぶ運動

ピラティスには、一見すると単純なエクササイズが数多くあります。

背骨を丸める、伸ばす、回旋する。

股関節を曲げる、伸ばす。

脚や腕を動かしながら、体幹を安定させる。

こうした動きは、私たちが日常生活でも行っている基本的な身体運動です。

しかし、簡単そうに見える動きでも、実際には一人ひとりに異なる身体の使い方があります。

例えば、股関節を伸ばす動作を考えてみましょう。

本来、股関節の伸展を中心に行いたいエクササイズでも、腰椎の伸展を大きく使って動く人がいます。

本人は脚を後ろに伸ばしているつもりでも、実際には腰を反らす動きが大きく加わっていることがあります。

これは、身体がそれまでに身につけてきた運動パターンの一つかもしれません。

もちろん、腰椎が動くこと自体が悪いわけではありません。日常の動作では、複数の関節が協調して動くことが自然です。

しかし、股関節の動きを学ぶことが目的であれば、腰椎の動きが大きくなりすぎることで、目的とする運動を十分に経験できない場合があります。

ここに、基本的なエクササイズを丁寧に行う意味があります。

自分にとって慣れた動きが、必ずしも目的に合った動きとは限らないのです。

自分の身体感覚は、どこまで正しいのでしょう

私たちは、自分の身体を自分が一番よく知っていると思いがちです。

確かに、痛みや疲労感、筋肉の緊張など、本人にしかわからない情報があります。

これらの感覚は、運動を安全に、そして効果的に進めるうえで大切です。

一方で、身体の位置や動きについての認識には、誤差が生じることがあります。

身体の位置や動きを感じ取る働きには、固有受容感覚が関係しています。

また、運動中には、視覚や触覚、過去の運動経験など、さまざまな情報を使って身体をコントロールしています。

そのため、自分では骨盤を安定させているつもりでも、実際には動いていることがあります。

左右均等に力を使っているつもりでも、左右差が生じていることもあります。

これは、運動経験が豊富な人やピラティスインストラクターでも起こり得ることです。

私自身、長年ピラティスを学び、指導してきましたが、自分の感覚と実際の動きの違いに気づかされることがあります。

だからこそ、今でも学び続ける必要があると感じています。

大切なのは、自分の感覚を否定することではありません。

「私はこう感じている。でも、実際にはどうなのだろう?」と考えることです。

その疑問が、新しい身体の理解につながるのではないでしょうか。

運動が上手な人と、ピラティスを深く理解している人は同じでしょうか?

運動が得意な人は、指導された動きをすぐに再現できることがあります。

身体の位置を調整したり、動作を修正したりする能力に優れている場合もあります。

これは素晴らしい能力です。

しかし、エクササイズを上手に再現できることと、その運動の目的や身体への影響を理解していることは、必ずしも同じではありません。

反対に、最初は動作が苦手でも、時間をかけて自分の身体を観察し、修正を重ねることで、身体の使い方への理解を深めていく人もいます。

ピラティスインストラクターの教育でも、私はこの違いを大切にしています。

動きができること。

なぜその動きを行うのか理解していること。

そして、他者の身体を観察し、必要な指導を選択できること。

これらは関連していますが、それぞれ異なる能力です。

特に指導者は、自分の身体で感じたことを、そのままお客様にも当てはめないよう注意する必要があります。

身体の構造や運動経験、筋力、可動域、生活習慣は、一人ひとり異なります。

自分にとって効果的だった方法が、すべての人に適しているとは限りません。

だからこそ、指導者自身が学び続け、自分の判断を検証する姿勢が必要なのだと思います。

ピラティスの上達は、難しいエクササイズができることではない

ピラティスを続けていると、以前はできなかったエクササイズができるようになります。

筋力や柔軟性、バランス能力が向上し、より複雑な動作にも挑戦できるようになるでしょう。

こうした変化は、運動の成果の一つです。

しかし、私はそれだけがピラティスの上達ではないと考えています。

例えば、以前よりも無理なく立てるようになった。

歩くときに身体を動かしやすくなった。

日常生活で必要以上に力まなくなった。

自分の身体の左右差や動きの癖に気づき、必要に応じて動き方を調整できるようになった。

こうした変化も、大切な上達です。

そして、運動の成果を考えるときには、エクササイズの完成度だけでなく、日常生活にどのような変化が生まれたかを見る必要があります。

運動学習には、練習した動作そのものが上達することに加えて、その学習が別の動作や環境でも役立つかという「転移」の視点があります。

ピラティスで身につけた身体の使い方が、そのまますべての日常動作に転移するとは限りません。

だからこそ、レッスンで学んだことが、生活の中でどのように役立っているのかを確認することも大切です。

ピラティスの本当の目的は、これからの生活の質を高めること

私がピラティスを指導するうえで大切にしているのは、エクササイズを完成させることだけではありません。

その運動が、これから先の身体にどのような影響を与えるのか。

そして、少しでも健やかに、快適に生活するための一助になっているのか。

ということです。

私たちの身体は、年齢や生活環境、活動量などによって変化していきます。

だからこそ、筋力や柔軟性だけでなく、身体をコントロールする能力や、さまざまな動きに対応する能力を維持していくことが重要です。

ピラティスは、そのために活用できる運動方法の一つです。

ただし、ピラティスを行えば必ず姿勢が改善し、痛みがなくなり、生活の質が向上するというわけではありません。

運動の効果には個人差があり、身体の状態や運動の内容、頻度、継続期間などによっても変わります。

だからこそ、私たち指導者は、お客様一人ひとりの身体と向き合い、何が必要なのかを考え続ける必要があります。

ピラティスが上手になるために、ピラティスをするのではない。

ピラティスを通して、自分の身体を理解し、これからの人生をより健やかに過ごすために運動をする。

私は、そのことを大切にしたいと思っています。

豊中市で、本格的なマシンピラティスを学ぶということ

大阪府豊中市のStudio Pilates removeでは、リフォーマーやキャデラック、チェア、バレルなど、さまざまなピラティス専用器具を使用しています。

クラシカルピラティスとコンテンポラリーピラティス、それぞれの特徴を生かしながら、お客様の身体の状態や目的に応じたパーソナルレッスンを提供しています。

私たちが大切にしているのは、単にエクササイズの種類を増やしたり、難しい動きを完成させたりすることではありません。

基本的な身体の動きを丁寧に学び、自分の身体の特徴に気づき、少しずつ動きの選択肢を増やしていくことです。

ピラティスが初めての方も、長く続けている方も、そして指導者の方も。

自分の感覚を大切にしながら、その感覚だけにとらわれず、新しい身体の可能性を探していただければと思います。

ピラティスを通じて得た経験が、日常生活をより快適に、そして長く健やかに過ごすための力になること。

それが、私たちの目指しているピラティスです。

Studio Pilates remove
大阪府豊中市

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