何をもって「ピラティス」とするのか

何をもって「ピラティス」とするのか

― お客様が選べる業界にするために ―

最近、ピラティススタジオが本当に増えました。

私の周りにも、ピラティススタジオを経営している方、ピラティスを指導している方がたくさんいます。

ピラティスを知る人が増え、身体を動かす選択肢としてピラティスを選ぶ人が増えることは、とても嬉しいことだと思っています。

一方で、市場が大きくなればなるほど、私はあることを考えるようになりました。

「何をもって、私たちはそれをピラティスと呼んでいるのだろう?」

「ピラティスを教えています」で商品になる

現在、「ピラティス」という言葉の中には、本当にさまざまなものがあります。

クラシカルピラティスもあれば、コンテンポラリーピラティスもあります。

パーソナルで一人ひとりの身体を細かく見ていく指導もあれば、

大人数で楽しく身体を動かすグループレッスンもあります。

リハビリテーションの考え方を強く取り入れる人もいれば、フィットネスとして提供する人もいます。

私は、この多様性そのものが悪いとは思いません。

時代とともに身体について分かることも増え、社会も人々の生活も変わります。ピラティスがさまざまな形に発展していくことは、自然なことでもあると思います。

ただ、そこで一つ問題があります。

お客様から見たときに、その違いがほとんど分からないことです。

どこも「ピラティス」。

どこも「姿勢改善」「身体を整える」「インナーマッスル」「マシンピラティス」。

これでは、初めてピラティスをする方には違いが分かりません。

選択肢は増えた。

でも、選択するための情報が十分に増えていない。

私は、今のピラティス業界の一つの課題はここにあるのではないかと思っています。

「私が本物です」と言いたいわけではありません

だからといって、

「これが本当のピラティスです」

「私たちが元祖です」

「こちらの方が正しいです」

と決めることが必要だとは、私は思いません。

誰が上で、誰が下かを決めたいわけでもありません。

むしろ、それぞれのインストラクターが、

私はピラティスをどう捉えているのか。

それを、もっと表に出してもいいのではないでしょうか。

どんな教育を受けてきたのか。

身体をどのように見ているのか。

なぜそのエクササイズを選ぶのか。

何を大切にして指導しているのか。

そして、自分はお客様に何を提供したいのか。

資格名や流派だけではなく、**その人自身の「ピラティスに対する考え方」**を伝える。

それを見て、お客様が選ぶ。

私は、それが一番自然なのではないかと思っています。

お客様は、大切なお金と時間を使っています

ピラティスは、決して安いものではありません。

特にパーソナルレッスンを継続すれば、年間ではかなりの金額になります。

そして、お金だけではありません。

お客様は毎週、あるいは毎月、大切な時間を使ってスタジオへ来てくださいます。

身体を預けるわけですから、

「どんな先生なんだろう」

「私の身体をちゃんと見てもらえるだろうか」

「何を大切にしている先生なんだろう」

「ここに通うことで、私はどうなっていくんだろう」

そんなことを考えている方も少なくないと思います。

だからこそ、私たち提供する側が、判断するための材料をもっと出す必要があるのではないでしょうか。

お客様が選べる環境を作るのは、私たちピラティスインストラクターだと思うのです。

選ばれなかったとしても、それでいい

これは経営という意味でも、とても大切なことだと思っています。

自分の考えを明確にすれば、

「私はこの先生から習いたい」

と思ってくださる方がいる一方で、

「私が求めているものとは違う」

と思う方もいるでしょう。

でも、それでいいのだと思います。

楽しく身体を動かしたい人。

身体を細かく見てもらいたい人。

クラシカルを学びたい人。

現代的な運動科学を取り入れたピラティスを求める人。

それぞれが、自分の目的に合う場所を選べばいい。

すべてのお客様に選ばれようとするには、無理があると思っています。

大切なのは、お客様が違いを理解したうえで、自分で選択できることだと思います。

「どこも同じ」にしたくない

これは、スポーツクラブなど他のフィットネス産業にも少し似ているのかもしれません。

市場が大きくなり、同じような設備、同じようなサービス、同じような言葉が並ぶようになると、利用する側からすると、

「結局、どこも同じ」

になってしまいます。

そうなると、残る比較材料は価格や立地、便利さになっていきます。

私は、ピラティスをそうしたくありません。

ピラティスには、もっといろいろな考え方があります。

身体の見方も違う。

教え方も違う。

歴史の捉え方も違う。

大切にしていることも違う。

その違いを隠す必要はない。

むしろ、違いがあるからこそ、それを伝えることに価値があると思っています。

私自身も問い続けたい

私自身、長くピラティスを指導してきましたが、「ピラティスとは何か」という問いに、一言で答えられるとは思っていません。

クラシカルを学ぶことで気づくことがあります。

コンテンポラリーを学ぶことで気づくこともあります。

自分自身の身体を動かして、初めて分かることもあります。

そして、お客様を長く見てきたからこそ分かることもあります。

だから私は、

「これがピラティスです」と答えを決めてしまうことよりも、「私は何をもってピラティスとしているのか」を考え続ける指導者でありたい。

そして、その考えをできるだけ言葉にして、お客様に伝えていきたいと思っています。

ピラティス市場が大きくなっている今だからこそ、これは必要なことではないでしょうか。

誰が本物なのかを競うのではなく、

「私は、こういうピラティスを提供しています」

と、それぞれの指導者が自分の言葉で語る。

そして、

「私は、この人からピラティスを受けたい」

と、お客様自身が選ぶ。

そんな業界になればいいなと思っています。

そして、そのために私自身ができることを、少しずつやっていこうと思います。

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