「Pilates」をどう捉えるか

「Pilates」をどう捉えるか

― 名前・資格・そして受け継がれてきた中身 ―

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近年、ピラティスという言葉を目にしない日はないほど、
このメソッドは広く知られるようになりました。

一方で、
「何が正しいのか」
「何を基準に選べばいいのか」
迷いを感じている方も多いのではないでしょうか。

この疑問は、決して個人の感覚だけの問題ではありません。
ピラティスの歴史そのものが、
“名前・資格・中身”のズレを内包してきた

という背景があります。


1.「Pilates」という名前がたどった歴史

Pilates は、
Joseph Pilates
が生涯をかけて体系化したメソッドです。

彼自身は、自らの方法を
「Pilates」ではなく Contrology と呼んでいました。

“Contrology is complete coordination of body, mind, and spirit.”
— Joseph Pilates

彼が伝えたかったのは、
名前ではなく
身体・心・精神の統合という考え方でした。

ところが、Joseph Pilates の死後、
「Pilates」という名称は
**商標として登録され、
法律上“所有・売買できるもの”**として扱われる時代を迎えます。

これは事実として、

  • ある時期
  • Pilates という言葉の権利が
  • メソッドの継承者とは別の第三者へ移転した
    という歴史が存在します。

つまりここで、
名前(Pilates)と中身(メソッド)が
法的に切り離された時代があった

ということです。

この事実を踏まえると、
「Pilatesという名前=本質」
とは言い切れない理由が見えてきます。


2.資格・団体・「正規」という言葉について

次に、資格や団体について考えてみます。

現在、ピラティスには
さまざまな教育団体・資格制度が存在します。

これらは、

  • 学ぶための道筋
  • 一定の基準
    として、大切な役割を果たしています。

しかし歴史を振り返ると、
Joseph Pilates のもとで直接学んだ人々
— いわゆる Pilates Elders — は、
同じ教えを受けながらも、
異なる立場・異なる団体で活動してきました。

その一人が、
Joseph Pilates の後継者として
長くスタジオを守り続けた
Romana Kryzanowska です。

“Pilates is not about the exercises.
It’s about how you do the exercises.”
— Romana Kryzanowska

この言葉が示しているのは、
資格や形式よりも、実践の質こそが本質
という考え方です。

資格や「正規」という言葉は
参考にはなりますが、
それだけで中身を保証するものではない
ということも、
歴史が教えてくれています。


3.では、何を信じるのか ―「中身」という基準

ここまでを踏まえると、
自然と導かれる問いがあります。

では、私たちは何を信じればいいのか。

答えは、とてもシンプルです。

それは 中身 です。

  • なぜ、そのエクササイズを行うのか
  • どこを見て、何を感じ取っているのか
  • 身体をどの方向へ導こうとしているのか
  • 形の再現ではなく、変化が起きているか
  • そして、誰から学び、今も学び続けているか

これらは、
名前や肩書きではごまかせません。

Joseph Pilates 自身も、
基準を「見た目」や「流行」に置いていませんでした。

“If your spine is inflexible at 30, you are old.
If it is completely flexible at 60, you are young.”
— Joseph Pilates

評価の軸は、
身体そのものの状態と変化です。


4.現実が語るもの

スタジオで撮られた一枚の写真には、

  • マシンの選択
  • 手の添え方
  • 目線の向き
  • 動きの前後の変化

その指導者が
何を大切にしているか が表れます。

派手さや難易度ではなく、
「身体が整う方向へ導かれているか」。

これは、歴史を通して
一貫して受け継がれてきた
ピラティスの価値観です。


まとめ ― 歴史が教えてくれること

ピラティスを考えるとき、
私たちは三つの層を見分ける必要があります。

  • 名前(Pilates)は、時代によって扱われ方が変わった
  • 資格や団体は、学びの指標ではあるが絶対ではない
  • 変わらず信じられるのは、身体を通して伝わる「中身」だけ

これは個人の好みではなく、
ピラティスの歴史そのものが示している事実です。

だから私は、
名前よりも、
肩書きよりも、
身体への向き合い方を大切にしています。

それが、
このメソッドが本来持っている価値を
次の世代へ手渡していく方法だと考えているからです。

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