資格を取ったのに使わないマシンがあった理由

資格を取ったのに使わないマシンがあった理由

~器具の特性を理解することが指導力につながる~

ピラティスのフル認定を取得したばかりの頃、私はたくさんのエクササイズとたくさんのマシンを学びました。

リフォーマー、キャデラック、チェア、バレルetc

当時は「これで全ての器具が使えるようになった」と思っていました。

しかし、実際に現場で指導を始めると、あることに気づきます。

それは、

使うマシンと使わないマシンがある

ということでした。

もちろん資格を取得しているので、どの器具も基本的なエクササイズは知っています。

しかし実際のレッスンでは、どうしても使用頻度に偏りが出てしまうのです。

リフォーマーはよく使う。

マットもよく使う。

でも、ある器具は時々しか使わない。

今振り返ると、その理由はとてもシンプルでした。

私はまだ、

その器具の本当の特性を理解していなかった

のです。

「使える」と「使いこなせる」は違う

ピラティスの資格取得では、多くの場合、

「このマシンでこのエクササイズを行う」

ということを学びます。

しかし現場で必要になるのは、

「なぜ今、このクライアントに、このマシンを選ぶのか」

という判断です。

例えば、

股関節の安定性を高めたいのか。

脊柱の分節運動を引き出したいのか。

呼吸の拡張を感じてもらいたいのか。

荷重感覚を学んでほしいのか。

目的によって選択肢は変わります。

本来はエクササイズから考えるのではなく、

身体の課題や目標から逆算して器具を選ぶべきなのです。

しかし経験の浅い頃の私は、

どうしても自分が理解しやすい器具、

結果を予測しやすい器具ばかり選んでいました。

つまり、

器具を選んでいるようで、

実際には自分の安心できる範囲を選んでいたのです。

今でも覚えている一つの言葉

フル認定を取得して間もない頃、クラシカルの意味もあまりよくわかってない時でした。

あるインストラクターがこんな話をしていました。

「GRATZのハイチェアを買ったけど、ほとんど使っていないの。」

「ずっとスタジオの端に置いたまま。」

「でも、由緒あるGRATZマシン。あるだけでよかった」

当時の私は、その言葉がとても印象に残りました。

そして正直なところ、

その感覚を理解できませんでした。

使わないのに、なぜ買ってよかったのだろう。

器具は使うためにあるのではないのだろうか。

そんな疑問を持ったことを覚えています。

しかし今になって思うのです。

その先生は決して怠けていたわけではありません。

おそらく、

どう使えばいいのかが自分の中で整理できていなかった

のだと思います。

そして実は、多くのインストラクターが同じ経験をしているのではないでしょうか。使いこなすことの大事さを今となっては感じます。ただマシンを持っているだけでなく、そこに自分が使いこなし、そのマシンの特性(個別の)まで知れたら、きっともっとお客様にも自分の練習にも自前に使えていくようになるものなんだろうなと感じました。

クラシカルピラティスを学んで見えたこと

私自身、その後クラシカルピラティスを学び始めました。

また、現在もメンターから継続的に学び続けています。

そこで感じたのは、

優れた指導者ほどマシンを特別視していないということでした。

リフォーマーだから良い。

チェアだから難しい。

バレルだから補助器具。

そういう考え方ではありません。

その人たちは、

身体を見て、

必要な感覚を考え、

その結果として器具を選んでいます。

つまり、

器具ありきではなく、

目的ありきなのです。

だからレッスンを見ていると、

「今日はチェアの日」

ではなく、

「今日はこの感覚を引き出すためにチェアが最適だった」

という選択になっています。

器具を均等に使えることは技術である

最近私が強く感じるのは、

全ての器具への想いが均等で使えることは、一つの技術である

ということです。

もちろん無理に均等に使う必要はありません。

しかし、

どの器具にも役割があり、

どの器具にも得意分野があります。

その特性を理解していると、

クライアントを見た瞬間に、

「今日はこの器具が合うな」

という選択が自然に出てきます。

これはエクササイズを暗記することとは違います。

身体を見る力と、

器具の特性を理解する力が結びついた結果です。

スパインコレクターを学び直した理由

スパインコレクターやミニバレルもその一つです。

以前の私は、

「背骨を反らせるための器具」

程度の認識しかありませんでした。

しかし学びを深めるにつれて、

呼吸、

胸郭、

脊柱の分節運動、

左右差の認識、

身体感覚の教育、

など、多くの可能性を持つ器具であることが見えてきました。

器具を理解すると、

エクササイズの意味が変わります。

そしてエクササイズの意味が理解できると、

指導の質も変わります。
そしてクライアント側も表面的でない何かをその器具から感じ取ってくれます。見た目と違う感覚、また初めての感覚の気づきを得るでしょう。

学び続ける理由

資格取得はゴールではありません。

むしろスタートです。

私自身、今でも学び続けています。

なぜなら、

器具の理解が深まるたびに、

クライアントを見る視点が変わるからです。

そして、今後もできるだけ全ての器具を活かしながら指導していきたいと思っています。

それぞれの器具には意味があり、

役割があり、

そしてクライアントに与えられる独自の体験があります。

その価値を理解し、適切に選択できること。

それこそが、ピラティスインストラクターとしての成長なのではないかと感じています。

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