長く一人の先生から学び続ける、ということ

長く学ぶほど、「できる」より「分からない」が増えていく

先日、SNSである投稿を目にしました。

50代後半のピラティスインストラクターの方が、10年間、一人のマスターから1,000回を超えるプライベートレッスンを受け続けてきた、という内容でした。

その方の身体の動きや集中力、そして長年の練習によって培われた身体感覚について書かれていました。

それを読んで、私はふと、自分自身のこれまでの学びについて考えました。

私も長い間、一人の先生から学び続けています。

2016年にJillian Hesselに出会い、その後、2020年からはオンラインでのプライベートレッスンも継続して受けています。

また、クラシカルピラティスについては、Risa Mathewから継続して学んでいます。

こうして書くと、

「長い間、素晴らしい先生から学んできた」

という、きれいな話に見えるかもしれません。

でも、実際の学びは、そんなに華やかなものではありません。

むしろ、とても地味です。

長く学ぶということは、たくさんのことを知ることなのか

ピラティスを学び始めた頃は、私も「もっと知りたい」と思っていました。

新しいエクササイズ。

新しいバリエーション。

新しいキューイング。

新しい考え方。

知らないことを知ることが「学ぶこと」だと思っていた部分もあったと思います。

もちろん、それも大切です。

でも、長く学び続けていると、少しずつ学びの意味が変わってきました。

最近はむしろ、

「また、ここに戻ってきた」

と思うことの方が多いのです。

呼吸。

背骨。

骨盤。

足。

肩甲帯。

身体のつながり。

コントロール。

そして、自分の身体を感じること。

何年も前に教えてもらったことを、今になってようやく「こういうことだったのか」と感じることがあります。

逆に、以前は分かったつもりになっていたことが、

「私はまだ十分に分かっていなかった」

と気づくこともあります。

100時間を学ぶだけでも、何年もかかる

Risaからクラシカルピラティスを学んでいて、改めて感じることがあります。

100時間という数字だけを見ると、決して途方もない時間には見えないかもしれません。

でも、実際に一人の先生から継続して100時間のトレーニングを受けようとすると、私は約3年かかります。

仕事をしながらスケジュールを合わせ、海外の先生から学び、自分自身も練習し、また次のレッスンを受ける。

その繰り返しです。

先生方のプライベートレッスンも、現在1回2、3万になります。私には、ちょっと大変な金額です。

そして今でこそオンラインで海外の先生から学ぶことが当たり前になりましたが、

少し前まではそうではありませんでした。

海外の先生から直接学ぼうと思えば、飛行機に乗り、現地へ行き、ホテルに泊まり、時間と費用をかける必要がありました。

だからこそ思います。

「何年間学んだ」

「何時間受講した」

「何回レッスンを受けた」

という数字だけでは、その人の学びは分からないのだと。

大切なのは、その時間の中で何をしてきたのかなのではないでしょうか。

本当に長い学びは、意外なほど地味

長く学び続けるというと、どんどん高度なエクササイズができるようになって、難しいことを教えてもらって……というイメージがあるかもしれません。

でも、私自身の経験は少し違います。

同じことを何度も言われます。

基本的な動きを何度も練習します。

自分ではできていると思っていたことを修正されます。

以前にも聞いたことを、また教えてもらいます。

そして、同じエクササイズをしているのに、自分の身体の状態によって全く違って感じることがあります。

とても地味です。

けれど、私は最近、この地味さこそが学びなのではないかと思うようになりました。

先生から「答え」をもらうためだけではない

長く同じ先生から学んでいると、その先生からエクササイズやテクニックだけを教わっているのではないことにも気づきます。

何を見るのか。

なぜ、今日はこのエクササイズなのか。

なぜ、ここで止めるのか。

なぜ、あえて何も言わないのか。

そして、人の身体とどう向き合うのか。

そうしたものを、長い時間をかけて学んでいるのだと思います。

一度ワークショップを受けて、すぐに理解できるようなものではありません。

先生の言葉を聞き、自分の身体で経験し、自分のクライアントを指導し、また疑問が生まれて、先生のところへ戻る。

学ぶ→実践する→分からなくなる→また学ぶ。

私はずっと、その繰り返しをしています。

一人の先生に学ぶことが私の願いでした。

ピラティスは、その表面的な先生の指導だけでなく、

その先生のお人柄、バックグラウンド、考え方・・・その全部を学ぶことが必要かなと感じたからです。

もちろん、長くピラティスをさせてもらっているのでエクササイズは知っています。また解剖学も知ってる方だと思います。が、先生方のピラティスへの想いやその経験の中でどうピラティスを捉え、お客様に提供しているのかそれを学びたいと思っています。

その先生全部を知り、学ばせていただきたいのです。

これは少し不思議なことですが、長くピラティスをしているほど、

「私は分かっています」

とは言いにくくなりました。

むしろ、

「これはどういうことだろう」

「この人には、なぜこの動きが起こるのだろう」

「私が正しいと思っていることは、本当にこの人にも必要なのだろうか」

そんな問いが増えています。

若い頃より経験は増えています。

指導歴も長くなりました。

それでも、身体を見るたびに新しい疑問が出てきます。

でも、それでいいのだと思っています。

分からないから、また学ぶ。

そして学んだことを自分の身体で試し、クライアントへの指導の中でも考える。

それが、私にとっての「学び続ける」ということなのだと思います。

10年後に残るもの

10年間学んだからといって、10年前とはまったく違う特別なエクササイズをしているとは限りません。

むしろ、10年前にもやっていた呼吸や基本的なエクササイズを、今もしています。

でも、同じものを見ているようで、見えているものは違います。

同じエクササイズをしていても、感じていることが違います。

同じ「呼吸」という言葉でも、その意味が違います。

それが、時間をかけて学ぶということなのかもしれません。

何年学んだか。

何時間受講したか。

何回プライベートレッスンを受けたか。

もちろん、それも一つの積み重ねです。

でも、私はそれ以上に、

その時間の中で、どれだけ自分の身体と向き合ったか。
どれだけ基本に戻ったか。
どれだけ「まだ分からない」と思えたか。

そこを大切にしたいと思っています。

華やかなことではありません。

誰かに見せるためのものでもありません。

今日も基本を練習する。

また先生から同じことを言われる。

そして、「ああ、そういうことだったのか」と少しだけ分かる。

その繰り返しです。

でも、その地味な時間が少しずつ自分の身体を変え、指導を変え、そしてピラティスとの向き合い方そのものを変えてきたように思います。

長く学ぶということは、遠くへ行くことではなく、同じところを何度も通りながら、少しずつ深く入っていくことなのかもしれません。

私はこれからも、そんな学び方を続けていきたいと思っています。

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