呼吸が変わると、疲れにくくなる

呼吸が変わると、疲れにくくなる

「最近、疲れやすくなった気がする」
「寝てもスッキリしない」
「肩や首がいつも重たい」
「気づくと、ため息が増えている」

そんな感覚はありませんか?

忙しさや年齢のせいと思われがちですが、実はその“疲れやすさ”には、呼吸の質が関係していることがあります。

私たちは、無意識のうちに1日中呼吸を繰り返しています。
成人の安静時呼吸数は一般的に1分間に12〜20回程度とされており、単純計算すると1日に約2万回前後呼吸をしていることになります。
(参考:American Association for Respiratory Care / 成人安静時呼吸数)

つまり、呼吸が浅い状態が続けば、その影響は身体に少しずつ積み重なっていくということです。


呼吸が浅いと、身体は“緊張モード”になる

現代人は、無意識に呼吸が浅くなりやすい環境にいます。

例えば、

  • 長時間のスマホやパソコン
  • 前かがみ姿勢
  • 常に頭の中で考え事をしている
  • 忙しさによるストレス
  • 肩や首に力が入りやすい生活

こうした状態では、本来しなやかに動くはずの肋骨や横隔膜の動きが小さくなります。

すると、呼吸をするたびに首や肩まわりの筋肉ばかり使うようになり、身体は無意識に緊張した状態になります。

呼吸は、本来「楽に行えるもの」のはずなのに、身体が頑張って呼吸している状態になるのです。


「体力低下」だけではない、“呼吸効率”という視点

疲れやすさを感じると、多くの方は

「体力が落ちたのかな」
「運動不足かな」

と思われます。

もちろんそれもあります。
ですが実際には、“呼吸効率”が低下しているケースも少なくありません。

呼吸は、肺だけの働きではなく、

  • 横隔膜
  • 肋骨
  • 背骨
  • 骨盤
  • 姿勢を支える筋肉

など、全身と深く関係しています。

姿勢が崩れることで呼吸機能が変化することは、理学療法や呼吸機能研究の分野でも知られています。
特に猫背姿勢では胸郭の動きが制限され、呼吸が浅くなりやすいことが報告されています。

(参考:Katzman WB et al. Age-related hyperkyphosis and breathing mechanics / Journal of Physical Therapy Science)

呼吸が浅い状態では、身体は余計なエネルギーを使いやすくなります。

だから、

  • 夕方になるとぐったりする
  • 立っているだけで疲れる
  • 身体が重だるい
  • 集中力が続かない

といった感覚につながることがあります。


ピラティスは、「呼吸を整える」エクササイズ

ピラティスというと、

  • 体幹トレーニング
  • 姿勢改善
  • インナーマッスル

というイメージを持つ方も多いと思います。

もちろんそれも大切ですが、ピラティスでは“呼吸”を非常に重要視しています。

ジョセフ・ピラティスも著書の中で、

「何よりもまず、正しく呼吸することを学ばなければならない」

と述べています。

(出典:Joseph Pilates “Return to Life Through Contrology”)

ピラティスでは、呼吸を使いながら、

  • 肋骨を動かす
  • 背骨をしなやかに動かす
  • 必要な筋肉を働かせる
  • 不要な力みを減らす

ことを繰り返していきます。

すると少しずつ、身体が「頑張りすぎない状態」を覚えていきます。


呼吸が変わると、日常の感覚が変わる

レッスン後、お客様から

「呼吸がしやすいです」
「背中が軽い」
「頭がスッキリしました」
「立つのが楽」
「今日はよく眠れそう」

そんなお声をいただくことがあります。

激しく動いたわけではないのに、身体が軽く感じる。

それは、呼吸しやすい身体に近づいているからかもしれません。


頑張るためではなく、“整える”ために

今は、頑張ることが当たり前になりすぎている時代かもしれません。

だからこそ必要なのは、

「さらに追い込むこと」ではなく、
「呼吸できる身体に戻すこと」

なのではないかと思います。

ピラティスは、単なる運動ではなく、
身体を整え、呼吸を取り戻し、自分自身を感じ直す時間でもあります。

もし最近、

「なんとなく疲れが抜けない」
「呼吸が浅い気がする」
「身体が重たい」

そんな感覚があるなら、まずは呼吸から見直してみませんか?

身体は、呼吸が変わるだけでも、少しずつ変わり始めます。


参考文献・出典

  • Joseph Pilates, Return to Life Through Contrology, 1945
  • American Association for Respiratory Care(成人安静時呼吸数の一般基準)
  • Katzman WB et al. Age-related hyperkyphosis and breathing mechanics
  • Journal of Physical Therapy Science
  • ACSM(American College of Sports Medicine)運動生理学基礎資料

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