小さな基本的な動きを大事にする
体の中の動きで、どうしても感じられない・・・意味がわからない・・とピラティスを指導しているとそんなことをおっしゃる方がおられます。もちろん、私もそうでした。
言っていることは、わかるのだけど、それをどうすればいいのかわからないし、それが、自分のこととは思えない。よくあることです。
例えば、骨盤の動き。背骨を一つ一つ動かす動きがあるのですが、骨盤を先に倒していく動きがよくわからない。。。指摘してもなかなか修正につながらない。それは、私たち指導者のキューイングが悪いから、はたまた、お客様のコントロール修正能力に問題があるということなのか・・・
と、よく悩むということもあることです。
私はこれに対して、考えているのは。
基本的な骨盤を倒す・・骨盤から傾いていくような動きには、クライアントが頑張ってもできない・・という姿勢の背景があると考えます。なので、すぐにそれが、できるとは考えにくく、硬くなってしまっている筋肉があるので、もし、その骨盤の傾きができたように思っていても、その筋肉はきちんと使えていないことがあるとも考えた方がいいということです。
姿勢で、股関節の屈筋群が強いであろう方は、股関節の伸展筋群が働きにくいと思われます。そのせい、骨盤を傾ける際、股関節の屈筋群でその動きをしてしまっているのかもしれません。そうなるとある次の段階に移った時、骨盤を傾ける動作について???ばかり働き、自分のことを客観的に見ることができません。
強い使いやすい筋肉だけでその動きをする癖もついてしまい、さらに複雑になっていくばかり。
その動きに問題があるときは、修正していくには、3つのことがまず必要です。
①姿勢を理解して動きの傾向について予測し、確認する(自分のニュートラルポジションを探ることができる)
②自分を客観的に見ることができる
③ピラティスのプリンシプルを理解している
ピラティスのプリンシプルは、自分の体をコントロールするのに最も最適な方法を言ったものです。なので、これを使うことはとても重要なのです。
なので、先程の動きに戻ると、骨盤の傾きを指導するのに難しいと思った時には、まず、基本の部分でさらに骨盤を動かすということを時間をかけて取り組んでいただくことが重要なのです。
骨盤の動きを仰向けの状態で呼吸と共に行うことで、硬くなってしまっていた骨盤周りの筋肉やその周りの構成部分をほぐしたり、自分の姿勢について、ニュートラルについての理解を深めていくことが、その後のピラティスのエクササイズに深くつながっていくのです。
その基本的な動きは、その人の姿勢に大きく関わっていて、姿勢によっては、全く意味がわらない動きも出てきます。
例えば、背骨が歪んでいる方は、それにつながる胸郭もねじれが起きていると言ってもよく、そのために、脊柱の動きがわかりにくくなっていると考えられます。そんな方に脊柱の回旋動作などは、わかりにくく感じられるでしょう。(必ずではなく、予測ですが)
自分の体の基本的な動きは、できていると思いがちなのは、使いやすい筋肉を使ってやっている場合もあり、その場合には、よりそれがいろんな方向への動きになっているのかを検証していく作業も必要です。それが、プレエクササイズでもあるのかなと思います。
せっかくピラティスをするのですから、効果を出していただきたい。また、怪我なく行っていただきたい。そのためには、ピラティスを段階的に一つづつ理解していくようなプログラムで、特に初期の段階では、時間をかけて、取り組んでいくことが必要です。指導者もクライアントも、壁をひつひとつ乗り越えていくように、コミュニケーションを取りながら取り組むこと。そして、それには、可動域内を意識した制限した動きであり、解剖学的な動きを再度確認していくこと。その中でピラティスプリンシプルを体の動きで理解していくこと。
初期の理解がないと、また元に戻ることが困難で、思い込みの中で動いてしまうことになります。
体は個体差がものすごくあり、これが正解というものがない代わり、修正能力(コントロール力)を持つことが全てだと言っていいのかもしれません。正解を求めるのではなく、それをコントロールする力を持つこと・・・それが、ピラティスだと感じていますし、その時に初めてピラティスの効果を実感できるのだと思います。