ピラティスは運動だけではない

ピラティスは運動だけではない

ピラティスというと、「体を動かす運動」「エクササイズ」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。

もちろん、体を動かすことはピラティスの大切な要素です。体を動かすことが目的の大きな一つとなっていますし、それは大事な大事なことです。

しかし、長くピラティスを学び、指導してきた中で感じるのは、ピラティスは単なる運動ではないということです。

ピラティスは、「どう動くか」だけでなく、「なぜそう動くのか」「どのような考え方で体と向き合うのか」という前提を大切にします。

そのため、学びを深めていくほど、エクササイズそのものよりも、自分自身の在り方や物事の捉え方に意識が向いていきます。

常識は環境によって作られる

私たちは普段、「これが当たり前」「これが正しい」と思いながら生活しています。

しかし、その常識は本当に絶対的なものなのでしょうか。

例えば文化も同じです。

住む国や地域が変われば、当たり前だと思っていたことが当たり前ではなくなります。

環境によって文化が作られ、文化によって考え方が作られていきます。

体も同じではないでしょうか。

姿勢や動きの癖、呼吸の仕方、身体の使い方は、これまでの生活環境や経験によって作られています。

だからこそ、「今の自分はこうだから仕方がない」と考えるのではなく、

「もしかしたら違う考え方や違う使い方があるのではないか」

と視点を変えることができれば、体は変わる可能性を持っています。

環境そのものを変えることは難しくても、自分の考え方や捉え方を変えることで、結果的に環境との関わり方は変わっていくのです。

一つの原因で体はできていない

私は現場でよく、

「この筋肉を鍛えれば良くなりますか?」
「このエクササイズをすれば改善しますか?」

という質問を受けます。

もちろん、それが有効な場合もあります。

しかし実際の身体は、そんなに単純ではありません。

姿勢ひとつをとっても、

  • 呼吸
  • 骨格
  • 筋力
  • 柔軟性
  • 習慣
  • 感情
  • ストレス
  • 生活環境

など、多くの要素が関わっています。

つまり、

「こうなったからこうなる」

という単純な話ではなく、

「こういう要素が重なり合った結果、今の状態がある」

ということです。

だからこそ、一つだけを変えれば全て解決するわけではありません。

大切なのは全体を見ること。

ピラティスでいう「ホールボディ(Whole Body)」の考え方です。

身体を部分で見るのではなく、一つのつながったシステムとして捉える。

この視点は、身体だけでなく人生や仕事、人との関わりにも通じる考え方だと思っています。

ピラティスに正解は一つではない

ピラティスを学び始めた頃、多くの人は「正しい答え」を探します。

私自身もそうでした。

しかし学べば学ぶほど感じるのは、ピラティスには一つの正解だけが存在するわけではないということです。

もちろん原則や基本はあります。

しかし人の身体は一人ひとり違います。

同じエクササイズでも、目的が違えば方法も変わります。

同じ姿勢でも、その人がそこに至った背景は違います。

だからこそ大切なのは、誰かの答えをそのまま真似することではなく、その意味を考え、自分なりに理解し、身体の中に落とし込んでいくことです。

ピラティスとは、答えを覚える学問ではなく、問い続ける学問なのかもしれません。

マシンは身体との対話を教えてくれる

私はクラシカルピラティスの器具を学ぶ中で、その考えをより強く感じるようになりました。

マシンは単なるトレーニング器具ではありません。

リフォーマー、キャデラック、チェア、ラダーバレル、スパインコレクター。

それぞれに役割があり、それぞれに得意なことがあります。

どれか一つが優れているのではなく、それぞれが互いを補い合っています。

まるでオーケストラの楽器のように。

そして、マシンは私たちに身体との対話を教えてくれます。

マシンを操作するのではなく、マシンと協力して動く。

私はいつも、マシンはダンスパートナーのような存在だと思っています。

自分の身体の延長として自然に扱えるようになると、エクササイズの見え方は大きく変わります。

そして、その感覚はクライアントにも伝わっていきます。

私たちインストラクターの役割は、「正解を与えること」ではなく、その人自身が自分の身体との付き合い方を見つけていく過程をサポートすることなのだと思います。

学ぶほど面白くなる

ピラティスは、エクササイズの数を増やすことでも、難しい動きができるようになることでもありません。

その背景にある考え方を理解し、自分自身の身体や人生と結びつけていくこと。

そこに本当の面白さがあります。

そしてマシンもまた同じです。

本質を知れば知るほど面白くなる。

使えば使うほど新しい発見がある。

だから私は今でも学び続けています。

ピラティスは運動でありながら、運動を超えたもの。

身体を通して、自分自身の考え方や在り方を見つめ直していく旅なのだと思います。

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