ピラティスの流行によって起こっていること

ピラティスの流行によって起こっていること
~いま、私たち指導者に求められていること~
近年、ピラティスは「美しくなる」「痩せる」「姿勢が整う」などのイメージとともに、大きく注目される存在となっています。SNSでの情報発信や、芸能人・インフルエンサーの発信によって、これまで運動に興味がなかった方にも届くようになりました。それ自体は、ピラティスの認知度が高まったという意味で、とても喜ばしいことです。
けれども、その一方で、ピラティスの本質が誤解されてしまう場面も少なくありません。

ピラティスは単なる「エクササイズの名前」ではなく、創始者ジョセフ・ピラティスによって体系化された**“メソッド”です。つまり、そこには哲学や原則、意図があり、「どう動くか」だけでなく「なぜそう動くのか」「どこを使って動くのか」という内面へのアプローチ**が存在します。
しかし現在、多くの人が画像や動画を見て「このエクササイズをやればいい」と形を真似し、ピラティスを“見た目”だけで理解してしまう傾向があります。実際にSNSでよく見るピラティスの投稿は、美しくポーズを決めた一瞬の切り取りが多く、本来のプロセスや意図が伝わっていないことが多いのです。
だからこそ、私たち指導者に求められるのは――
「その人の姿勢や身体の状態を見極め、その人に本当に必要なエクササイズを選ぶ力」です。

ピラティスでは、単に動きを教えるだけではなく、その人の身体を観察・分析し、今の状態に必要なサポートを選び、段階的に導いていくことが重要です。
どんなに美しくポーズをとっている画像があっても、それが「その人にとって意味がある動きだったかどうか」は、画面越しにはわかりません。目の前のクライアントをよく見て、判断し、その人にとっての“最適な道筋”を組み立てていく――
それができるのが、本物のピラティスインストラクターだと思うのです。
今、流行の中でピラティスが広く知られるようになったからこそ、指導者はその奥にある哲学や原則を伝える役割を持つべきだと、私は強く感じています。
私たちは「真の意味でのピラティス」を伝える責任がある。
その一歩一歩が、クライアントの身体だけでなく、人生をも変える力になると信じて。