ピラティスでは肩甲骨を下げるのが正しい?

ピラティスでは肩甲骨を下げるのが正しい?― 肩甲骨の挙上から考える、本来の身体の使い方

ピラティスのレッスンで、「肩を下げてください」「肩をすくめないようにしましょう」という言葉を聞いたことはありませんか?
私自身も、これまでの指導の中で、肩甲骨の安定性を大切にしてきました。
しかし、肩甲骨を下げることが、いつでも正しいのでしょうか。
最近、クラシカルピラティスの歴史的なエクササイズについての投稿を目にし、改めて考える機会がありました。
それは、ジョセフ・ピラティスの弟子であるキャロラ・トリアーから伝えられた「クレオパトラ」というエクササイズについての内容でした。
この投稿では、身体を支える側の肩甲骨を意図的に挙上させることについて説明されていました。
今回は、肩甲骨の動きから、ピラティスにおける「正しい身体の使い方」について考えてみたいと思います。
肩甲骨の挙上は、悪い動きなのでしょうか?
肩甲骨の挙上とは、肩甲骨が上方へ移動する動きです。
一般的には、肩をすくめる動きとして知られています。
肩甲骨には、挙上・下制・内転・外転・上方回旋・下方回旋など、さまざまな動きがあります。
これらはすべて、人間の身体に備わった正常な運動です。
肩甲骨の挙上には、僧帽筋上部線維や肩甲挙筋などが関わります。
一方、肩甲骨の下制には、僧帽筋下部線維などが関与します。
大切なのは、どちらか一方の筋肉を働かせ続けることではありません。
必要な場面で必要な筋肉が働き、動作に応じて適切に力を調整できることです。
つまり、肩甲骨が挙上すること自体が、悪い動きなのではありません。
問題になるのは、その動きが必要なのか、不必要な緊張によって生じているのかということです。

ジョセフ・ピラティスは肩甲骨を固定することを求めていたのでしょうか?
今回目にした投稿では、クレオパトラというエクササイズにおいて、支持側の肩甲骨を挙上させることが紹介されていました。
投稿者は、以前はこの動きに疑問を感じていたものの、ジョセフ・ピラティスの歴史的な映像や資料を研究する中で、その意味を理解するようになったと述べています。
また、ペディプルを使用した「Two-Count Relax」というエクササイズにも触れ、肩周辺の筋肉を意図的に緊張させ、緩めることの重要性を説明していました。
ここで興味深いのは、肩甲帯を単に安定させるのではなく、積極的に働かせているという点です。
ただし、この歴史的な解釈だけで、ジョセフ・ピラティスがすべてのエクササイズで肩甲骨の挙上を推奨していたと結論づけることはできません。
エクササイズごとに目的や身体への負荷が異なるためです。
それでも、肩甲骨を常に下げておくことだけがピラティスの原則ではない、という視点は重要だと思います。

肩甲骨を下げ続けることにも問題はある
現代のピラティスでは、肩甲骨の安定性を重視する指導が多く見られます。
もちろん、肩甲帯の安定性は大切です。
しかし、安定させることと、動かさないことは同じではありません。
例えば、腕を頭上に上げる動作では、肩甲骨の上方回旋や後傾などが必要になります。
このとき、肩甲骨を過度に下制・固定しようとすると、自然な肩甲上腕リズムを妨げる可能性があります。
また、肩甲骨を下げることばかり意識すると、必要以上に筋肉を緊張させてしまう場合もあります。
身体の安定性とは、筋肉を固め続けることではありません。
動作に必要な可動性を保ちながら、適切に力をコントロールできること。
私は、この両方が大切だと考えています。
クレオパトラで肩甲骨を挙上させる意味
クレオパトラは、身体の側面や肩甲帯の働きが関係するエクササイズです。
今回の投稿では、リフォーマーのキャリッジが戻る際に、支持側の肩甲骨の挙上を許容することで、同じ側の体幹に心地よいストレッチが生まれると説明されていました。
ここで考えたいのは、肩甲骨だけが単独で動いているわけではないということです。
肩甲骨は胸郭の上を滑るように動き、鎖骨や上腕骨、脊柱の動きとも関係しています。
そのため、肩甲骨の位置が変化すると、肩甲帯や体幹周辺の筋肉の長さ、張力、力の伝わり方にも変化が生じます。
ただし、肩甲骨の挙上だけで体幹側面が伸ばされるわけではありません。
実際には、体幹の側屈や胸郭の位置、支持する腕の角度など、複数の要素が関係すると考えられます。
だからこそ、エクササイズの形だけを見るのではなく、身体全体でどのような動きが起こっているのかを観察する必要があります。
クラシカルとコンテンポラリー、どちらが正しいのか
私は長くコンテンポラリーピラティスを学び、指導してきました。
そして現在は、クラシカルピラティスについても改めて学びを深めています。
その中で感じるのは、同じ身体の動きであっても、指導方法や着目するポイントが異なることがあるということです。
しかし、それは単純に、どちらかが正しく、どちらかが間違っているという話ではないと思います。
コンテンポラリーピラティスで学んだ解剖学や運動学の知識は、身体の動きを理解するために役立ちます。
一方、クラシカルピラティスを学ぶことで、これまで自分が当たり前だと思っていた動きや指導方法を、別の視点から考える機会が生まれています。
例えば、肩甲骨の挙上という一つの動きについても、単に「肩が上がっているから修正する」のではなく、なぜその動きが起こっているのか、エクササイズの目的に合っているのかを考えることができます。
大切なのは、流派や指導方法の違いを比較して優劣をつけることではなく、身体の仕組みを理解し、目の前のお客様にとって適切な指導を選択することだと思います。
ピラティス指導で大切なのは、形を整えることだけではない
肩が上がっている。
骨盤が傾いている。
背骨が丸くなっている。
レッスン中、私たち指導者はさまざまな身体の動きを観察します。
しかし、見た目だけで、その動きが正しいか間違っているかを判断することはできません。
同じ肩甲骨の挙上でも、必要な筋活動によって生じている場合もあれば、不必要な緊張や代償動作として現れている場合もあります。
その違いを見極めることが指導者には求められます。
また、お客様によって身体の構造、可動域、筋力、運動経験は異なります。
すべての方に同じ動きを求めるのではなく、一人ひとりの身体を観察し、適切な方法を考えていくこと。
私は、そこにピラティス指導の専門性があると考えています。
正しい形よりも、動きの意味を理解すること
ピラティスは、決められた姿勢を作ることだけが目的ではありません。
身体を動かし、その動きをコントロールしながら、自分自身の身体への理解を深めていくものだと思います。
肩甲骨を下げることが必要な場面もあります。
反対に、挙上させることが適切な場面もあります。
重要なのは、その動きが何のために必要なのかを理解することです。
指導する側も、教わる側も、「こうしなければならない」という考えだけにとらわれず、身体の動きを丁寧に観察することが大切なのではないでしょうか。
私自身、長く指導を続けてきましたが、学び直すたびに、新しい発見があります。
これまで正しいと思っていたことを、もう一度考えてみる。
その積み重ねが、よりよい指導につながると信じています。
豊中市のStudio Pilates removeでは、クラシカルピラティスとコンテンポラリーピラティス、それぞれの特徴を大切にしながら、マシンを使用したパーソナルレッスンを提供しています。
身体の動きや姿勢の特徴を観察し、一人ひとりに合わせた指導を行っています。
豊中市で本格的なマシンピラティスを学びたい方、身体の使い方を見直したい方は、ぜひ一度ご相談ください。
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