「わかったつもりだった自分」と、プロとしての責任について

スタジオでのピラティス以外に、フィットネスジムで指導したり、大学で教えたり、養成の仕事をしたり研修など、いろんな指導をしてきました。

指導をしていると、
“わかったつもり”の状態にいる生徒さんと出会うことがあります。

でも、ふと振り返ると——
私自身にも、きっとそんな時代があったのだろうと思うのです。

少しできるようになって、
自分は「理解した側」に立っている気がして、
生意気で、世界が狭いままなのに“広く見えているつもり”だった時期。

もしかしたら、
今の私も、まだどこかでそうなのかもしれません。
人は一生、自分の知らなさを学び直し続けていくものだから。

■ 自分では「わからない」ことが、いちばん見えにくい

私たちは、自分が知っている範囲の中で判断しがちです。
だから、知らない世界に触れた瞬間に、
防御反応で怒ったり、拒否したり、批判したりする人がいます。

でもその反応の裏には、

「本当は、知らない自分を認めるのが怖い」

そんな心が隠れているのだと思います。

そしてそれは、私自身も含めて、誰にでも起こり得ること。

だから私は、
“わからない自分”を素直に認められる人間でいたい
といつも思っています。

私たちは、自分が「知っていること」の中で世界を見ています。
だからその枠の外から投げかけられた言葉や情報に出会うと、
理解できないだけなのに、防御反応として怒りが出たり、拒否してしまうことがあるのだと思います。

実は以前、心理学の本で読んだことがあります。

人は何かを少し学ぶと “もうすべて知っている” と錯覚し、
さらに深く学び始めると “知らないことばかりだ” と気づき始める。

これは「ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger effect)」と呼ばれるものです。
学びが浅いほど自信が高くなり、深く学ぶほど謙虚になるという現象です。

■ 「無条件に褒める」だけでは、お客様は変わらない

長く指導をしてきて、強く感じることがあります。
それは——

本気で変わりたい方には、
やさしさだけでも、厳しさだけでも足りない。

レッスンの中で、
全ての方をただ褒めて励ましていれば良いわけではない。
むしろ、本当に変わってほしい時ほど、
褒めるより、伝えるべきことを正確に伝える勇気が必要です。

骨格のゆがみ、動きの癖、姿勢の乱れ。
そこに気づかずに続けてしまえば、
身体は変わるどころか、逆に負担が増えてしまうことさえあります。

だから私は、
やわらかく寄り添いながらも、厳しい“目”を持つこと
プロとしての責任だと感じています。

時に言いにくいことを伝えなくてはいけない時もあります。
でもそれは、
その方の未来のためであり、身体の安全のためであり、
あなたの人生に本気で向き合っている証でもあります。

■ 指導者も、常に学び続ける必要がある

厳しさを持つためには、
もっと深い知識と、正しい判断力と、確かな技術が必要です。

だから私は今でも、
海外のマスターティーチャーから学び続け、
自分の身体を通して理解し直す時間を持ち続けています。

学べば学ぶほど、
自分がどれだけ知らなかったかを痛感します。
そしてそのたびに、
「わかったつもりだった自分」からまた一歩抜け出せる気がします。

■ 最後に

人は誰でも、
“わかったつもり”の時代を通ります。
それは悪いことではなく、必要な成長のステップです。

でも指導者として大切なのは、
そこで止まらず、
自分の未熟さを知りながら、学び続けること。

そして、
“無条件に褒める”優しさだけでなく、
“必要なことを伝える”厳しさも持ち合わせ、
お客様の未来に責任を持つことだと私は思います。

これからも、
謙虚さを忘れずに、
真摯に、丁寧に、
指導という仕事に向き合い続けたいと思います。


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