ピラティスは、教えられるものではなく「気づくもの」

ピラティスは、教えられるものではなく「気づくもの」
ジョン・ハワード・スティール著『Caged Lion』を読んで
先日、『Caged Lion(ケージド・ライオン)』という本を読み返していたとき、心に強く残る場面がありました。

ピラティス創始者ジョセフ・ピラティス(ジョー)との日々を描いた著者、ジョン・ハワード・スティール氏が、ある日、背中を痛めたままジョーのスタジオに駆け込んだときのこと。
ジョーは何も言わず、彼をマットに横たわらせ、「Rolling Like a Ball(ローリング・ライク・ア・ボール)」の姿勢にセットし、ただこう言ったそうです。
“Roll.”
“Get up.”
“Roll on the hotel floor when you get there. Roll before you go to sleep. Tomorrow you will be much better. Have a good trip.”
つまり、「転がって」「起き上がって」「ホテルに着いたらまた転がって」「寝る前にもやって。明日はきっと良くなってる。良い旅を」
そして実際、翌日には痛みは消えていました。
このエピソードは、私にとって「ピラティスの本質」がそのまま詰まったような出来事でした。
ジョーは「言葉で教えなかった」
この章の中で印象的だったのは、次の一節です。
“Not a word about what was wrong and the complete absence of anything resembling a Latin anatomical term.”
ジョーは、何が悪いかを説明することもなく、解剖学用語も使いませんでした。ただ観て、動きを変えて、そして「感じさせる」ことで教えていたのです。
私自身、指導する側に立ってからも、常に迷うことがあります。どこまで説明するか、どこまで導くか。でもこの一節を読むと、やはりピラティスとは「やって、感じて、気づく」ものなのだと強く思うのです。

なぜピラティスを続けるのか?
スティール氏は、なぜ自分がピラティスに引き込まれたのかをこう述べています。
“Unconsciously, I was in search of Pilates while at the same time Joe was unconsciously looking for me.”
「無意識に私はピラティスを探していた。そして同時に、ジョーもまた無意識に私を探していた」
この言葉には、深く頷かざるを得ませんでした。
私たちがピラティスに出会うとき、それは単なる運動としてではなく、
「自分自身と向き合う時間」を探しているのかもしれません。身体の不調や違和感、
心の揺らぎ、それらすべてが私たちを“動き”へと導きます。
そしてピラティスは、言葉ではなく“体験”として、その答えを返してくれるのです。
誰かの背中を、そっと支える存在でありたい
スティール氏は、ジョーとの出会いをこう締めくくっています。
“I know it now. His hand is still on my back fifty-three years later. And his arthritic finger is pointing up and onward.”
「今ならわかる。彼の手は53年経った今も、私の背中にある。そしてその関節炎の指は、いまも前と上とを指している」
私も、こんなふうに人の背中にそっと手を添えられる存在でありたいと、心から思います。
ジョーのように、言葉ではなく「在り方」で人に影響を与える。
「こうしなさい」ではなく、「こう感じてみて」と伝えられる指導者でいたい。

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※この記事は、ジョン・ハワード・スティール著『Caged Lion』よりインスピレーションを得て執筆しました。