モダン?コンテンポラリー?

ピラティスとダンスにおける「モダン」「コンテンポラリー」の意味とその関わり
ダンスの世界で使われる「モダン」と「コンテンポラリー」という言葉は、日常会話では似たように「現代的」と解釈されがちですが、
実際には大きく異なる背景を持っています。
ダンスにおける「モダン」と「コンテンポラリー」
まず「モダンダンス」は、20世紀初頭にクラシックバレエの厳格な形式美に対する反発として誕生しました。マーサ・グラハムやイサドラ・ダンカンといった振付家たちが代表的存在で、重力を感じる床の使い方や内面的な感情の表現に重点を置き、当時としては革新的な舞踊でした。モダンダンスは今では「確立されたジャンル」となり、歴史的にも位置づけられています。
一方「コンテンポラリーダンス」は1960年代以降に発展しました。こちらは「現代舞踊」という意味合いを持ち、常に時代や社会の変化を映しながら、振付家ごとに多様なスタイルを展開しています。クラシックバレエやモダンダンスの要素を取り入れつつ、武道やヨガ、ストリートダンスなどをも吸収しながら進化を続ける、極めて自由度の高い舞踊形式です。
つまり、モダン=近代舞踊という歴史的ジャンル、コンテンポラリー=現代進行形の舞踊表現と理解すると、両者の違いが明確になります。

ピラティスにおける「モダン」と「コンテンポラリー」
ところが、ピラティスの世界ではこの区別はほとんど存在しません。ピラティスは、ジョーの教え子にダンサーがたくさんいて、ピラティスを事実的に広げたのも、ダンサーのエルダー多かったため、ダンサーの世界に類似しているところがあります。
なので、自然に、クラシカル、とコンテンポラリーと言われるようになったのだと思われます。が、そこにモダン、コンテンポラリーと言う言葉も出てくるのですが、
ピラティスにおける「モダン」「コンテンポラリー」という語は、あくまで英語本来の意味である「現代的」「今風の」といった程度で使われており、舞踊界のように体系的なジャンル分けを示すものではありません。特にそこに大きな定義付けはされていないと思われます。アメリカの先生たちは、コンテンポラリーと言う言葉を選んで使っていることが多いと私は感じています。
ピラティスにおける分類はむしろ「クラシカル(ジョセフ・ピラティスの教えを忠実に伝承するスタイル)」と「コンテンポラリー(その後の改良や科学的知見を加えた現代的アプローチ)」といった対比で語られることが多く、これはダンスの用語の使い方とは少し異なります。

ピラティスとダンサーの歴史的関わり
先ほどにも出てきましたが、
ジョセフ・ピラティスがニューヨークでスタジオを開いていた時期、彼の顧客の多くはプロフェッショナルなダンサーでした。ピラティスは体幹を強化し、姿勢を改善し、ケガからの回復を早めることができるため、当時のダンサーにとって非常に魅力的なメソッドだったのです。
その中には、モダンダンスの巨匠であるマーサ・グラハムや彼女のカンパニーの舞踊家たちも含まれていました。彼らはリハビリテーションや身体のコンディショニングの一環としてピラティスを取り入れ、ダンスとピラティスの結びつきを一層深めました。
結果として、ピラティスの直弟子たち(いわゆるエルダー)の多くはダンス出身者であり、バレエやモダンダンスの知識を背景にピラティスを学び、広めていきました。このことは、ピラティスが「単なるエクササイズメソッド」を超えて、芸術的身体表現の世界と深く交わりながら発展していったことを物語っています。
現代へのつながり
今日、世界中のバレエ団やダンスカンパニーでピラティスが取り入れられている背景には、この歴史的な関わりがあります。ジョセフの時代にスタジオへ足を運んだダンサーたちが、後に教育者となり、または弟子として継承し、さらに自らの生徒や仲間に広めていったことで、その流れは現代にまで続いています。
したがって、ピラティスにおける「モダン」「コンテンポラリー」という言葉は、ダンスほど厳密には区別されないものの、歴史的にはダンサーとの交流が強く影響していることを理解することが重要です。そしてその中心に、バレエやモダンダンス、さらにマーサ・グラハムといった偉大な舞踊家たちの存在があったのです。
最近は、SNSなどでいろんなことを言ってる人がいます。特に定義はないので、どれが正解かと言うことはナンセンスですし、何を持って正解とするのかでもあるので、それには、答えはありません。が、事実はあるので、歴史に基づき、事実を踏まえ、ピラティスを捉えていただけると嬉しいと感じます。だからこそ、私たちピラティスを伝えるものは、学ばないといけないし、事実を知ることも大事なことです。今は、情報は、溢れています。取りに行けばたくさんあり、またじっとしていてもどんどん情報が画面から流れてきます。それをどう捉え、どう真実を見つけ、調べていき、チョイスするのか。
言われたことを鵜呑みにしていく時代とは違い、自分の力を真実を見つけていきましょう。
ピラティスは、たくさんの情報で溢れています。が、今、目の前にあるものだけではなく、もっともっと本質、事実があるのです。それは、自ら手に入れようとしないと見つかりません。皆さんも、待っていないで自分でそれをい見つけに行って選択肢を増やしてください。
