ピラティスにおける「安全」とは何か?

― 私たちは何を教えているのか ―
スタジオを運営し、日々お客様に指導している中で、
私はよく考えることがあります。
ピラティスにおける「安全」とは何だろうか?
そして、
指導者はお客様に何を伝えなければならないのだろうか?
私は、エクササイズを教えているとは思っていません。
教えているのは「ピラティス」です。
動きそのものではなく、
その土台にある考え方。
身体の使い方の基盤。
そして、動きの中に通る一本の「軸」です。
見た目と、感じ方は違う
ピラティスのエクササイズは、一見とてもシンプルです。
しかし、
見た目の動きと、その内側で起きている感覚はまったく違います。
基本を守って行うと、
身体の内側に安定感が生まれます。
けれど、
基本を失ったまま形だけをなぞると、
同じ動きでもまったく違う質になってしまう。
そしてそれは、
時に危険な動きにもなり得るのです。
安全とは、
「やさしい動き」だからではありません。
正しい原理に基づいているから安全なのです。
不安定の中で、安定を見つける
ピラティスは、安定した場所で完結するものではありません。
むしろ、
不安定の中に安定を見つける練習です。
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リフォーマーも
キャデラックも
ワンダチェアも
ラダーバレルも
一見すると安全そうに見えます。
ですが、
スプリングは常に動き、
身体は支持を失い、
バランスは揺らぎます。
マシンは安全装置ではありません。
原理を理解していなければ、危険にもなります。
不安定さが増していく中で、
ただ「こなす」ことに集中してしまうと、
怪我へとつながる可能性もあります。
けれど、
内側の安定感を感じながら動くと、
身体は守られます。
同じエクササイズでも、
質がまったく変わるのです。
ジョセフ・ピラティスと“空中での安定”


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Joseph Pilatesは若い頃、体操やボクシングを学び、
サーカスのパフォーマーとして活動していた時期もあったと言われています。
空中で身体を操るには、
絶対的な軸と、
どんな状況でも崩れない内側の安定が必要です。
もしかすると彼は、
地面の上でも、空中と同じような安定感を作りたかったのではないか。
私は、そう感じることがあります。
不安定な状況の中でも、
内側が静かに保たれていること。
それが「コントロロジー」の本質だったのではないでしょうか。
指導者が伝えるべきこと
では、指導者は何を伝えなければならないのでしょうか。
それは、
- 正しい形
- 回数
- 強度
だけではありません。
伝えるべきなのは、
- 今、どこで支えているのか
- どこが抜けているのか
- なぜその順番なのか
- なぜその負荷なのか
そして何より、
「安定を感じながら動く」という感覚そのものです。
安全とは、
禁止事項を並べることではありません。
原理を理解させることです。
安全とは、守ることではなく育てること
私は思います。
ピラティスにおける安全とは、
身体を守ることだけではない。
自分で自分を守れる身体を育てること。
不安定な中でも崩れない軸を持つこと。
その軸を感じ取れる感覚を育てること。
それが、本当の意味での安全ではないでしょうか。
だから私は今日も、
エクササイズを教えているのではなく、
ピラティスを伝えています。
その「基盤」を。
まずは体験!













