リフォーマーボックスが教えてくれたこと

そして、クラシカルピラティスとは何か
クラシカル・ピラティスは、「どれだけ多くのマシンを使うか」で決まるものではありません。
大切なのは、その器具がどれだけ正確に身体を支え、動きを助けているかということです。
そのことが最もよくわかるのが、リフォーマーボックスです。
一見、とてもシンプルな箱。
けれど実は、背骨を整え、呼吸と動きをつなぎ、エクササイズを明確にしてくれる重要な存在です。
リフォーマーのレパートリーにおいて、ボックスは常に“基準”になります。
初心者の学びを支えながら、ショートボックスやロングボックスでは上級者にも深い挑戦を与え続けます。
私が「クラシカル」を選んだ瞬間
コンテンポラリーからクラシカルへ進んだ指導者には、
「あ、この違いだ」と気づく瞬間があると思います。
リサ・マシューズ(バンクーバー クラシカルピラティスマスターティチャー)にとって、それはリフォーマーボックスでした。
約14年前、彼女は正式なクラシカルレパートリーを学ぶためにスタジオを訪れました。
ショートボックスの時間になり、こう言われます。
「呼吸を使いながら、肋骨をボックスに押しつけてください。」
しかし、それができなかった。
それまで使っていた器具は、本来の寸法や形状とは異なり、
特にボックスは、角が硬く、正確さを欠いていました。
ところが、グラッツのボックスでは違いました。
初めて背骨を預け、深く伸展できた。
それまで“浮いていた”感覚が、確かな接触へと変わったのです。
その瞬間、レパートリーへの理解が変わった。
彼女は帰国後すぐに6台のクラシカルボックスを注文し、
その後10年かけてスタジオを完全にクラシカル仕様へと移行していきました。
ロングボックス・スワン。
ショートボックス・ロールバック。
クライム・ア・ツリー。
そこに、明確な違いを感じたのです。
器具は“先生”である
クラシカル・ピラティスでは、器具そのものが指導者の役割を果たします。
正しく作られたボックスは、
多くを語らなくても、身体に正しい方向を教えてくれる。
大切なのは、
器具に「抵抗する」ことではなく、
器具に「委ねる」こと。
柔らかすぎず、硬すぎず。
潰れもせず、跳ね返りもしない。
この絶妙なバランスが、
身体を浮かせるのではなく、支えます。
クライアントが「心地いい」と感じるのは、
単なる快適さではなく、背骨を守るために計算された設計だからです。
クラシカルピラティスとは何か
― 私は“マシン”に答えがあると思う ―
「クラシカルピラティスとは何ですか?」
そう聞かれたとき、
私はこう思うようになりました。
答えは“マシン”にあるのではないか、と。
クラシカルタイプのすべてのアパレイタスには、明確な意図があります。
そこには、正しい身体の使い方への“答え”がすでに組み込まれている。
けれど正直に言えば、
クラシカルの器具は決して優しくありません。
スプリングは重い。
マシンはどこか不安定。
ボックスの柔らかさにも意味がある。
扱いやすいとは言えない。
その“使いにくさ”を改良する流れの中で、
コンテンポラリーが発展した側面もあるでしょう。
でも私は思うのです。
その扱いにくさの中にこそ、
ジョセフ・ピラティスの哲学が隠れているのではないか、と。
ハードなスプリング。
不安定さ。
沈み込みすぎないクッション。
それらは偶然ではない。
身体に何かを“起こさせる”ための設計なのではないでしょうか。
その条件の中で動きがはまった瞬間、
「ああ、これか…」
と腑に落ちる。
リサが言う
「クラシカルは最も安全である」という言葉。
正しく扱えば、器具は身体を守り、正しい方向へ導く。
けれど間違えれば、すぐに痛みにつながる。
それほどまでに、クラシカルは“ごまかしが効かない”。
だからこそ、私はそこに本質を感じます。
扱いづらい。
難しい。
ハードである。
でも、その中にこそピラティスの本質がある。
クラシカルは形ではない。
向き合い方そのもの。
そして関西から発信する私たちだからこそ、
この“本質”を丁寧に、真摯に伝えていきたいと思うのです。
まずは体験!













