ピラティスの「原則」と「呼吸」

ピラティスの「原則」と「呼吸」——本当に知っておくべきこと

ピラティスを学ぶとき、よく目にするのが「6つの原則」や「正しい呼吸法」といった言葉です。しかし実は、これらはジョセフ・ピラティス自身が定めたものではなく、後の世代が彼のメソッドから体系化したものだということをご存じでしょうか?

「ピラティスの6原則」は誰が作ったのか?

ジョセフ・ピラティス本人は「原則(principles)」という言葉を使っておらず、いわゆる「ピラティスの6原則」は、彼の弟子であるロマーナ・クリザノウスカの指導を受けたフィリップ・フリードマンとゲイル・アイゼンが1980年に出版した書籍『The Pilates Method of Physical and Mental Conditioning』の中で、彼らなりに抽出・整理した考え方です。

この6原則とは:

  1. 集中(Concentration)
  2. センター(Centering)
  3. コントロール(Control)
  4. 呼吸(Breathing)
  5. 正確さ(Precision)
  6. 流れるような動き(Flowing Movement)

のことを指します。

この6原則は、後にショーン・ギャラガーとロマーナ・クリザノウスカによって再度出版された書籍でも紹介され、現代では多くのピラティス指導のベースとして受け入れられています。

呼吸に関する本当の考え方

ピラティスのレッスンでは「呼吸法」が強調されることも多いですが、ジョセフ・ピラティス自身は、エクササイズごとに厳密な呼吸パターンを必ずしも示してはいませんでした。彼はしばしば「空気を外に出せ(out the air)」というシンプルな指示を用いていたそうです。

また、彼がよく使っていた言葉のひとつに、

「濡れたタオルを絞るように肺の空気を絞り出せ」

というものがあります。この言葉からもわかるように、彼にとって大事だったのは肺の空気をしっかり出し切り、新鮮な空気を取り込むことだったのです。

彼の弟子であるロマーナは、「力を入れるときに吸い、戻すとき・リラックス時に吐く」というルールを基本とし、次のようにも言っています:

「体をぎゅっと締めるような動きのときは、空気を吐き出し、体を起こすときに吸いましょう」

さらに彼女は、DVDシリーズ『Romana on Pilates: The Legacy Edition』の中で、「呼吸が主役となるエクササイズ(呼吸エクササイズ)」と「自然に呼吸させるエクササイズ」を区別すべきであるとも語っています。

現代のピラティスにおける「原則」と「呼吸」の役割

こうして見ていくと、ピラティスの「原則」や「呼吸法」は、ジョセフ・ピラティスの直接の言葉というよりも、彼の思想や動きの本質を後世が解釈し、伝えるために整理されたものだとわかります。

つまり、私たちが大切にすべきなのは、「原則そのもの」ではなく、それらが導き出された背景や目的、つまり**“なぜそうするのか”という本質への理解**です。

呼吸ひとつをとっても、動きを助けるために使うのか、意識を深めるために使うのか、その意図によって指導方法も変わってきます。


おわりに

ピラティスを学ぶ上で、原則やルールに縛られすぎるのではなく、本来の目的や意図を感じ取りながら実践することが大切です。

「なぜこの動きなのか?」「なぜこの呼吸なのか?」——そんな問いを持ち続けることが、ピラティスを深め、そして指導者として成長していく一歩になるのではないでしょうか。

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