クラシカルピラティスとコンテンポラリーピラティスの違い

ピラティスには大きく分けて「クラシカル」と「コンテンポラリー」の二つのスタイルがあります。この違いを理解することで、それぞれの特徴や魅力をより深く知ることができます。

クラシカルピラティスとは?
クラシカルピラティスには「こうだ」といった厳密な定義はありませんが、世界的には一定の共通認識があります。その代表的な存在が「ロマーナピラティス」です。
ロマーナ・クリザノウスカは、ジョセフ・ピラティス氏と最も長く時間を共にし、彼の教えを忠実に守ろうとした人物です。そのため、ロマーナピラティスのトレーニングを受けた人は「クラシカルピラティス」の指導者と見なされることが多いです。
クラシカルピラティスは、世界中どこで受けても同じエクササイズが提供されます。これは、クラシカルのエクササイズが統一されており、マシンを含めた一貫した流れの中で動くことが重視されているためです。例えば、日本でもバンクーバーでも、ロマーナのメソッドを受ければ、同じエクササイズを体験できます。
また、クラシカルピラティスではさまざまな器具を使いますが、共通するのはそのマシンがクラシカル仕様であることです。特にスプリングが重く設計されており、コアの力やバランスの理解が不足していると、怪我のリスクが高まることもあります。
コンテンポラリーピラティスとは?
一方、コンテンポラリーピラティスは、クラシカルピラティスにアレンジを加えたものです。そのため、どのスタジオでも異なるエクササイズが提供されることが特徴です。
コンテンポラリーのエクササイズは、指導者が独自に作り出したものや、各協会が考案したもの、さらにはエルダー(ピラティスの直弟子)の発案によるものなど、多岐にわたります。そのため、クラシカルピラティスとは異なり、スタジオごとに提供される内容が大きく異なってしまうことが多いです。
クラシカルピラティスの魅力と課題
クラシカルピラティスは、その統一性があるからこそ、指導者が正式なトレーニングを受けていることが重要です。ロマーナピラティスのトレーニングを受けることで、単にエクササイズの形を学ぶだけでなく、動きの間の「トランジット」やマシンの扱いについても深く理解することができます。
しかし、日本ではクラシカルピラティスの正式な養成コースがほとんど存在せず、そのため「クラシカルピラティスとは何か」という定義が曖昧になってしまっているのが現状です。「クラシカル」という言葉が一人歩きし、実際には異なるものが「クラシカル」として広まってしまうことを懸念しています。

クラシカルピラティスをどう提供するか
最も大切なのは、お客様にどのようにクラシカルピラティスを提供するかという点です。クラシカルピラティスは、パワー・バランス・柔軟性を兼ね備え、全身を使って動く感覚をより深く理解できるものです。さらに、ジョセフ・ピラティス氏が本当に伝えたかったことを、100年経った今でも体感できるという魅力があります。
ただし、すべての人に向いているわけではありません。基本的な考え方や動きを身につけていないと、その本質を理解するのは難しくなります。そのため、「クラシカルピラティスはきつい」と感じることもあるでしょう。しかし、それだけにピラティスの本質を動きを通して学ぶことができるのです。
クラシカルピラティスの安全性
私のメンターは「クラシカルピラティスこそが最も安全なピラティスである」と言っています。それは、コアをしっかり使いながら、自然な動きの中で全身をコントロールするためです。まさに、ジョセフ・ピラティス氏が提唱した「コントロロジー(Contrology)」の概念が体現されているのです。
クラシカルピラティスを正しく学び、適切に提供することで、その真の価値をお客様に届けることができます。そのためには、正しいトレーニングを受けることが欠かせません。日本においても、クラシカルピラティスの正しい理解が広まり、その魅力がより多くの人に伝わることを願っています。
