正しさと楽しさのあいだで

正しさと楽しさのあいだで

── ピラティス指導者として、いま立ち止まって考えていること

長く指導の現場に立ってきて、
私は一貫して「正しくあること」を大切にしてきました。

ピラティスは、身体を扱う専門職だと考えています。
感覚や雰囲気だけで成立するものではなく、
解剖学的な理解、エクササイズの意図、
安全性への配慮があって初めて、
他人様に提供できるものだと信じてきました。

だからこそ、
なぜそのエクササイズを選ぶのか
なぜこの順番なのか
なぜここでキューイングするのか
――そうした「理由」を持つことを、
指導者の責任だと考えてきました。


そんな私が最近、
指導者ではなく「受け手」として他のエクサササイズのレッスンを受ける中で、
ひとつの強い違和感に出会いました。

正直に言えば、
そのレッスンは“めちゃくちゃ”でした。

構成は曖昧。
ルールも一貫性もない。
身体への配慮が十分とは言えない場面もある。

プロとして見れば、
到底「良い指導」とは言えない。

けれど――
人は集まっている。
場は明るい。
そして、私自身も楽しい。

一方で、
技術も知識もあり、
いわゆる「正しい指導」をしている人のレッスンを受けると、
完成度は高いのに、
なぜか心が動かない。

この体験は、
私にとってかなりの衝撃でした。


ここで明確になったのは、
「正しさ」と「人が惹きつけられること」は、
必ずしも一致しない
という現実です。

ピラティス業界でも、
これはすでに起こっています。

・分かりやすさ
・楽しさ
・誰でもできる
・雰囲気がいい

そうした要素が前に出る一方で、
本来ピラティスが大切にしてきた
原理・順序・安全性・意図
が、大切にされないまま消えていく。

「楽しいからいい」
「お客様が来ているから問題ない」

この考え方が当たり前になったとき、
業界は静かに、確実に、質を失っていきます。


ここで、はっきり言っておきたい。

めちゃくちゃな指導を肯定することは、
自由ではなく、自滅です。

身体を扱う仕事において、
責任を放棄した“自由”は、
事故と不信を生むだけです。またここに誤解があってはいけないし、私はこう思うということもあり、体を扱うからこそ、治すことはできませんし、より医療的になってはいけないということです。医療の分野は、専門の知識を持った人がするべきで、私たちは、あくまで運動を安全にしていただけるように、痛くなったり、問題が起きないように体を動かしていただけるように知識を持つことが大事だと思います。

その責任です。

短期的には集客できても、
長期的には
「ピラティスって、結局よく分からないよね」
という評価を、
私たち自身がつくってしまう。

それは、
先人たちが築いてきたものを
私たちの代で薄めるということでもあります。


では、答えは
「正しさに立ち返る」ことなのか。

私は、そう単純ではないと思っています。

なぜなら、
正しさだけを前面に出した指導は、
知らず知らずのうちに
受け手に緊張を強いるからです。

・ちゃんとできているか
・間違っていないか
・評価されていないか

その空気が、
人から「楽しさ」を奪うこともある。


だから、いま私が考えているのは、
正しさと楽しさのどちらかを選ぶことではありません。

正しさを“見せつける”のではなく、
正しさを“土台として隠し持つ”指導。

安全と原理は守っている。
でも、それを押しつけない。
遊びや余白を許す。

これは、
初心者にはできない。
経験が浅い指導者にも難しい。

一番難しいのは、
分かっている人が、あえて崩すこと
です。


ピラティス指導者として成熟するとは、
「正しく教えられるようになること」では終わらない。

・どこまで削いでいいのか
・どこは絶対に守るのか
・どこで手放すのか

その判断を、
自分の責任で引き受けられるようになること。

今、私が感じている違和感は、
迷いでも衰えでもありません。

業界を軽くしたくない人間が、
次の段階に進む前に立ち止まっている感覚
です。


ピラティスが
「楽しいだけのもの」にならないために。
でも、
「正しいだけで息苦しいもの」にもしないために。

この間に立ち続けることこそ、
これからの指導者に求められる
本当の専門性なのではないかと、
私は思っています。

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