ピラティスと“軸”の関係

—体軸・重力軸・機能軸から見るピラティスの本質—**

ピラティスを深く学べば学ぶほど、最終的に行きつくものの一つが “軸(Axis)” の理解だと感じています。
体の中心に存在する体軸、外から作用する重力軸、そして足から始まる機能軸。
これらの軸がどのように働くのかを知ることで、ピラティスというメソッドの奥行きが一段と鮮明になります。


■ 1|ピラティスにおける「軸」は、ただの解剖学的ラインではない

ジョセフ・ピラティスは、リフォーマーやキャデラックなどのマシンを考案しながら、一貫して「体を一本の軸として扱う」ことを強調しました。
ピラティスの“引き上げ(Lift)”“センターライン”“制御(Control)”というキーワードは、すべてこの軸の概念に繋がっていると考えられます。

しかし軸とは、静止して存在する1本の棒ではありません。
身体の内側(筋・骨・筋膜)と、外側にある重力との関係で 常に揺れ動く“動的な軸” です。

だからこそ、私たち指導者がその人の軸を読み取り、必要に応じて修正し、再教育することが重要になります。


■ 2|ピラティスでよく言う“重力軸”とは?

ピラティスで「引き上げを感じて」と指導するとき、実は私たちは
重力軸と体軸を整合させる作業
を行っていると考えています。

重力は常に真下に働くので、その中で体を引き上げるには、

  • 頭頂から仙骨までの“内側の軸”
  • 地面から押し返される“外側の軸(重力軸)”
    この両方を揃える必要があります。

ピラティスが「姿勢改善」や「生体効率の向上」に強いのは、
体軸と重力軸を一致させる練習を、すべてのエクササイズで繰り返すからです。


■ 3|ピラティスのマシンは“軸を感じるための装置”である

ピラティスのマシンは、ただ筋力をつけるための器具ではありません。
本質的には、軸を感知し、修正し、強化するための補助装置、フィードバックをくれる道具だと思います。
以下のようなフィードバックを感じていただけるのではないかなと考えています。

● リフォーマー

スプリングの方向が、体軸の乱れを“見える化”する。
押す・引く・戻る動きのすべてが、重力軸とのズレを浮き彫りにする。

● キャデラック

吊られる、支えられる、引かれることで、
体幹の軸がどこにあるのかを無意識に学習できる。

● チェア

足底から生まれる「機能軸」を強く刺激する。

● バレル

脊柱の“本来のカーブ”を取り戻すことで、軸の通り道を感じやすくする。

つまり、クラシカルピラティスの装置群は
「正しい軸を身体自身に思い出させるための教育ツール」
として働いています。

だからこそピラティスは、ただの筋トレではなく、
**身体再教育**と言われるのです。


■ 4|足部の軸の乱れは、上半身の軸にも影響する

足には、

  • 解剖軸
  • 機能軸
  • 重力軸
    という複数の軸が存在します。

これらが乱れると、
「ニーイン」「偏平足」「O脚・X脚」「反り腰」「巻き肩」
などが連鎖的に起こります。

ピラティスのマシン、とくにチェアや立位のワークが効果的なのは、
足の軸を整えると体軸も整い、結果として重力軸に沿って立てるようになる
という原理が働くからです。


■ 5|まとめ:ピラティスは“軸の教育”である

ピラティスを深めていくと、
軸 → 配列 → 呼吸 → 動作効率
という順で理解が深まります。

軸が整うと、

  • 動きが軽くなる
  • 呼吸が広がる
  • 余計な力みが消える
  • センターが働く
  • バランスの質が上がる
  • 痛みが軽減する
  • 姿勢が自然に改善する

これは現場で毎日のように目にする変化です。

そして、ピラティスのマシンはまさに
**「軸を感じるための最高のツール」**です。
重力軸と体軸が合う瞬間、クライアントの身体は驚くほど軽く動き出します。


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