内くるぶし(内果)への意識が全身を変える

内くるぶし(内果)への意識が全身を変える
~ピラティス・フットワークにおける足関節の機能的活用~
■ フットワークを指導するとき、何を伝えていますか?
ピラティスの基本ともいえる「フットワーク」は、一見とてもシンプルな動きに見えます。しかしこのエクササイズには、立つこと、重力とどう関わるか、そして身体全体をどのように統合していくかといった、ピラティスの核心が詰まっています。
足で押し、戻る——それだけの繰り返しの中に、どれほどの情報が込められているか。皆さんは、フットワークを教えるとき、どんな視点やキューをクライアントに伝えていますか?
私自身は、「足で立つ」ということを学ぶ上で、フットワークは本当に素晴らしいエクササイズだと感じています。そしてそれは、ただ足を使う運動ではなく、足から骨盤、体幹、そして全身へと力の通り道をつくる「ホールボディ」の基本練習でもあるのです。
そのために、日常生活では意識の向かないような細かな部位や筋肉にも目を向け、そこから得られる気づきや発見が、このエクササイズの価値をさらに深めてくれます。
今回は、その「気づき」を引き出すためのひとつのヒントとして、内くるぶし=内果への意識づけをご紹介します。

■ 内果とは?――構造と機能の理解から
内果(medial malleolus)は、脛骨(すねの骨)の末端にある骨の突起で、足首の内側に触れることができます。腓骨とともに距骨をはさみ、足と脚をつなぐ「距腿関節」を構成します。この関節は、体重を地面に伝える大切なハブであり、足元からの力の流れの起点でもあります。
この内果の位置や働きに意識が向くことで、以下のような全身の反応が促されます:
- 距骨の安定→足部アーチの保全
- 足のアライメント改善→膝・股関節の動きやすさ
- 骨盤底筋群・内転筋・腹横筋といったコアへの連動
- バランス力・支持力の向上

■ 内果の意識をどう引き出すか?
1. 視覚イメージ(Visual Cue)
内果の間に「小さな卵」があり、それを落としたり割ったりせずにそっと支えているイメージ。足首の細かい安定感を自然に引き出します。
2. 言語キュー(Verbal Cue)
「小指で下ろして、親指で上がる」。この言葉で、足裏のボール部分(中足骨頭)を通した荷重移動を導きます。足裏からのローリング動作を自然に促すフレーズです。
3. 触覚フィードバック(Tactile Cue)
ロマーナから教わった方法として、私はメンターより学んだ方法ですが、インストラクターが自身の指(2本)を内果の間に軽く入れ、動作中ずっとその圧を均等に保つよう指示します。ボールやパッドでは得られない、微細で正確なフィードバックを生徒に届けることができます。
■ なぜ内果への意識が重要なのか?
このような内果へのアプローチは、単なる足の安定にとどまらず、全身の統合(integration)に直結します。
- 正しい足首位置が膝・股関節に好影響を与える
- パワーハウス(体幹部)への筋活動が自然に起こる
- 立位での安定性、姿勢保持力、重心移動がスムーズになる
- マットエクササイズ中でも、全身の軸を感じやすくなる
まさに、足から始まる全身運動の土台を築く基礎となるのです。

■ フットワーク=身体との「再接続」
このような繊細な感覚の意識は、ピラティスの真髄である「知覚」と「統合」を体感する第一歩です。
ただ動くのではなく、内側の感覚に耳を傾けながら動くことで、自分自身の身体と新たに出会い直す——それがフットワークの本当の価値ではないかと感じています。

■ 最後に
この内果へのアプローチ、あなたの指導や練習の中でも使っていますか?
また、他にも有効なキューや感覚づけの方法があれば、ぜひ教えてください。
フットワークのような基本の中にこそ、身体の本質があります。
その深さに気づくためのヒントとして、今回の内容が何かのお役に立てば幸いです。
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