心の疲れもリセットする「呼吸」の力

2025年5月31日 2025年5月31日

Hideko.K

心の疲れもリセットする「呼吸」の力──ピラティスで自律神経と身体機能を整える

現代社会において、多くの人が心身の不調を感じながらも、その原因をうまく特定できずにいます。
疲れがとれにくい、イライラしやすい、気持ちが不安定になりがち──そのような不調の背景にあるのが、自律神経の乱れです。そして、その自律神経に密接に関わっているのが、「呼吸」です。

呼吸と自律神経の関係

呼吸は、自律神経の働きによって無意識に行われている一方で、私たちが意識的にコントロールできる唯一の自律神経活動です。交感神経（緊張・活動）と副交感神経（リラックス・回復）のバランスは、呼吸のリズムに大きく左右されます。

浅く速い呼吸は交感神経を優位にし、身体を常に“戦闘モード”に置きます。これは緊張や不安、焦りといった精神状態を引き起こし、結果として心身に大きな負荷をかけることになります。
一方で、ゆっくりとした深い呼吸は副交感神経を刺激し、身体と心をリラックスさせる効果があります。

つまり、「呼吸を整えること」が、そのまま「自律神経を整えること」につながるのです。

ピラティスにおける呼吸の役割

ピラティスでは、呼吸を単なるリラックスの手段としてではなく、運動機能の向上と身体操作の質を高めるための重要なツールとしています。特にクラシカル・ピラティスにおいては、胸郭を広げながら行うラテラル（側方）呼吸を基本とし、コア（腹横筋、多裂筋、骨盤底筋、横隔膜）との協調性を重視します。

この呼吸法は、単に酸素を取り入れるだけでなく、体幹部の安定性を高め、脊柱を安全に動かすためのサポートにもなります。また、内臓の動きを活発にし、循環機能や消化機能にも好影響を与えます。

つまり、ピラティスにおける呼吸は「心を整える」だけでなく、「身体機能そのものを改善する」という、二重の意味を持つ重要なエッセンスなのです。

呼吸が変わると、心と体の質が変わる

当スタジオ「スタジオピラティスリムーブ」では、呼吸と動作を連動させるレッスンを重視し、ひとりひとりが自分の身体と向き合う時間を大切にしています。
特に、年齢とともに体力や感情のコントロールが難しくなってきた方や、忙しさの中で自分の呼吸に意識を向ける機会がない方には、深い呼吸による“心身の再起動”を体感していただけるでしょう。

深く安定した呼吸は、思考をクリアにし、姿勢を整え、身体全体の動きに芯を通します。そして何よりも、心に余白を生み出し、自分自身を見つめる穏やかな時間をもたらします。