指導者として大切にしたい「在り方」

指導者として大切にしたい「在り方」
〜クライアントと共に、そして自分自身と共に歩む〜
ピラティスの指導において、「できる」「できない」という言葉を耳にすることは少なくありません。
けれども本当に大切なのは、その結果だけではなく、クライアントと、そして自分自身とどう向き合うかという「在り方」ではないでしょうか。

「できない」から始まる探求
私たちは、指導の現場でクライアントの「できない」という状況に直面することがあります。
ですが、それは決してクライアントだけの課題ではありません。指導者である私たち自身も、常に完璧なアライメントやコントロールを保てるわけではないのです。日々の練習や指導の中で、自らの癖や課題に気づき、身体と向き合い続けることこそが、真の学びに繋がっていきます。
そして、指導者にとって重要なのは、ただ「できるように導く」ことにとどまりません。なぜそれができないのか、その背景や原因を観察し、推測する視点を持つこと。そして、どのようなアプローチがアライメントの改善や動きの質の向上につながるのかを丁寧に考えていくことが、信頼ある指導へとつながっていきます。
指導者もまた「探求者」である
ピラティスの指導者は、教える立場であると同時に、自身の身体と心を探求し続ける学びの道を歩む存在でもあります。
身体的な要因
- 過去の怪我や慢性的な痛み
- 身体の左右差やアライメントの偏り
- 運動学習の過程での試行錯誤
心理的な要因
- クライアントへの共感疲労
- 自己肯定感の揺らぎ
- 指導スキルへの不安やプレッシャー
こうした要因を自身で認識し、受け入れることは、クライアントへの共感と理解を深める土台となります。
クライアントと共に「ムーブメントの旅」を歩む
指導者は、クライアントの「ナビゲーター」であると同時に、自分自身の変化にも気づき、育てていく「旅人」です。
自己観察と自己調整
- 自分のアライメント、安定性、可動域への継続的な意識
- デモンストレーションを通じたムーブメントの内観
- 身体だけでなく、心の状態も観察しながら学び続ける姿勢
クライアントとの協働
- クライアントのフィードバックに耳を傾け、指導に反映する
- モディフィケーションの提案を共に試しながら見つけていく
- 小さな成功を一緒に喜び、互いに励まし合う関係性を築く
「在り方」が導く変化
ピラティスの指導者にとって、「在り方」は技術以上に大切な要素です。それは、クライアントの心身の変化を導くだけでなく、自分自身の在り方をも変えていきます。
自己認識と自己管理
- 自分の状態を冷静に把握し、安定した心身でセッションに臨む
- クライアントの感情に巻き込まれすぎず、客観性を保つ
- 常に学び続け、自分自身の理解を深めていく
倫理観と責任感
- クライアントの安全を最優先に考える
- 個人情報を丁寧に扱い、信頼関係を築く
- 専門家としての責任を自覚し、誠実な指導を行う

ピラティスの指導者とは、「教える人」であると同時に、「共に学ぶ人」であり、「共に変化する人」でもあります。
クライアントの心と身体に寄り添いながら、自分自身の心身と向き合い、共に成長していく――
その姿勢こそが、指導者として最も大切にすべき「在り方」なのです。