マット vs. マシンではない! ピラティスの本質

マット vs. マシンではない! ピラティスの本質
ピラティスを考えるとき、多くの人が「マットピラティス」と「ピラティスマシン」という2つのカテゴリーに分かれていると捉えているかもしれません。しかし、実際にはそのような区分は存在せず、ピラティスというメソッドの中に、マットワークとさまざまなピラティス器具を使ったエクササイズが含まれています。

最近、マシンが流行しているため、「マットの方が良い」といった意見や、マットとマシンを対立させるような投稿をSNSで見かけることがありますが、
しかし、ピラティスとは本来、マットやさまざまな器具を用いたエクササイズを含めた総合的なメソッドであり、特定のものを選ぶことが目的ではなく、それらを組み合わせてピラティスを実践していくことが重要なのです。
実際のレッスンでは、インストラクターがクライアントの体の特性や状態を的確に把握し、どの器具を使うべきか、どのエクササイズを選択すべきかを判断しながらレッスンを構成します。
例えば、「ロールダウン」という動作はマット上でも行うことができますが、脊柱のアーティキュレーション(背骨の分節的な動き)が難しい方には、スパインコレクターを使って脊柱のカーブを利用しながら練習したり、
キャデラックのロールダウンバーとスプリングのサポートを活用して、骨盤をゆっくりとマットに下ろして骨盤、肋骨間を開き腹横筋を意識していく感覚を養うことができます。

ピラティスは単なる運動ではなく、「体をコントロールする方法」としてのメソッドです。
そもそも、私たちは自分の体を完全にコントロールできているわけではなく、
ピラティスを通じてそのコントロール力を高めていくことが目的です。
運動にはジョギングやラジオ体操などさまざまな選択肢があるように、ピラティスの中にもマットや器具を使ったエクササイズがあります。どれか一つ、マットをする、またリフォーマーを使えばいいといったことが大事なのではなく、
それぞれの特性を理解し、適切に活用することが重要です。

私は、「マシン」という言葉が機械的なイメージを持つため、「器具」と呼んでいます。
器具には、それを適切に扱うスキルが必要ですが、それこそがピラティスの学びの一環なのです。
ピラティスを実践する際には、マットだけ、あるいは器具だけにこだわるのではなく、ピラティスというメソッド全体を理解し、その中で適切なエクササイズを選択していくことが、より効果的な学びと実践につながるでしょう。