ピラティスで骨盤周りの感覚を高める方法

40代に入ると、「骨盤周りの動きが鈍くなった」「体幹が安定しにくい」「下腹がぽっこりしやすくなった」と感じる方が増えます。これは、加齢による筋力低下やホルモンバランスの変化に加え、姿勢の崩れが影響している ためです。
長年の生活習慣による姿勢の乱れが、骨盤の前傾・後傾・左右のシフトや回旋の偏りを生み、特定の筋肉が使われにくくなる ことで、骨盤周りの感覚が鈍くなります。その結果、体幹の安定性が低下し、動きのコントロールが難しくなります。
こうした変化に対応するためには、単に筋力を鍛えるだけでなく、骨盤周りの感覚を高め、適切にコアを活用すること が重要です。

ピラティスで骨盤周りの感覚を高める方法
① インナーユニットを個別に意識し、分離と統合を行う
骨盤底筋群・横隔膜・腹横筋・多裂筋は、コアの安定性に関わる重要な筋群ですが、姿勢の崩れによってうまく働かなくなることが多いです。そのため、最初はこれらを個別に意識しながら動かし、徐々に統合的に使えるようにしていきます。
- 骨盤底筋群:呼吸に合わせて収縮・リリースを意識し、適切に機能させる。
- 横隔膜:胸郭の可動性を確保しながら、腹圧をコントロールする。
- 腹横筋・多裂筋:適切な負荷で動かしながら、体幹の安定性を高める。
これらを分離して使えるようになった後、連動性を意識しながら統合していくことで、骨盤周りの安定性と動きやすさを取り戻す ことができます。

② 運動連鎖を活かし、遠心性収縮を意識する
骨盤周りの動きが硬くなっている人は、関節の可動域を広げようとする際に、局所的な力みが生じやすい です。そこで、遠心性収縮(筋が引き伸ばされながら力を発揮する動き)を利用しながら、全身を統合的に動かすこと が重要になります。
例えば、
- 骨盤の安定性を保ちながら、股関節を動かすワーク を取り入れる。
- コアを適切に使いながら、腕や脚の動きと連動させる。
こうしたアプローチを通じて、体の一部だけに頼らず、全身で効率よく動けるようになる ことで、骨盤周りの自由な動きと安定性を両立できます。
③ 低負荷のエクササイズを繰り返し、動作の神経学的な記憶を強化する
新しい動きを学習する際、小脳の働きによって、繰り返しの動作が記憶され、無意識レベルで適切なコントロールができるようになります。そのため、低負荷のエクササイズから始め、アライメントを意識しながら自然な動作を定着させることが重要 です。
- 過去の動きの感覚に頼るのではなく、今の体の状態を観察しながら動く
- 筋膜のつながりやアライメントを意識し、全身の連動性を高める
- 小さな動きを丁寧に行い、無意識のうちに正しい運動パターンを獲得する
このプロセスを繰り返すことで、骨盤周りの動きのコントロールが向上し、よりスムーズに動けるようになります。
40代からのピラティス指導のポイント
✅ 骨盤周りの感覚を養い、安定性に目を向け、インナーユニットを意識する
✅ 姿勢の崩れが骨盤の動きに影響していることを理解し、修正する
✅ 運動連鎖を活かし、遠心性収縮を利用して全身を統合的に動かす
✅ 低負荷から繰り返し動くことで、神経系に適切な運動パターンを記憶させる
40代以降のクライアントには、「昔の自分に戻す」ことを目的にするのではなく、
「今の体の可能性を引き出し、より効率的に動けるようになること」を目指す指導が求められます。
ピラティスは、体をコントロールする力を高め、無理なく動ける体をつくる最適なアプローチ です。クライアントの変化を観察しながら、より効果的な指導を行いましょう!
