体性感覚とピラティスの役割

体性感覚とピラティスの役割

ピラティスの指導をしていると、クライアントが自身の体性感覚に驚く場面によく遭遇します。

「ニュートラルポジションだと思っていたのに、実際はアライメントが崩れていた。」 「正しいポジションに修正すると、逆に違和感を覚える。」

このような現象は、クライアントが自身の身体感覚を正確に認識できていないために起こります。ピラティスインストラクターとして、なぜこうした感覚のズレが生じるのかを理解し、適切に指導することが重要です。

個体差とアライメントの多様性

「真っ直ぐ」と感じる基準は人それぞれ異なります。人間の身体は本来、完全な左右対称ではなく、解剖学的にも構造の違いが存在します。そのため、クライアントが感じる「平衡感覚」や「アライメント」は、それぞれの骨格構造や筋バランスによって変わります。

また、脊柱のカーブや股関節の可動性、重心の位置なども個人差があり、それがアライメントのズレや動作の癖となって現れます。生まれつきバランスが取れている人もいれば、構造的に大きな歪みを持っている人もいます。大切なのは、それらを「良い・悪い」と判断するのではなく、各個人のバランスを理解しながら機能的な動きを引き出すことです。

ピラティスの目的:コントロールする力を養う

ピラティスは、「歪みをなくす」ことが目的ではなく、「歪みをコントロールする力を養う」ことが本質です。

アスリートが生まれ持った才能だけでなく、トレーニングを積み重ねることで高いパフォーマンスを発揮するように、一般のクライアントも自身の身体を理解し、適切に使う練習を通して、より効率的に動けるようになります。

インストラクターとして、クライアントが自らの身体の使い方を学び、それを調整できるよう指導することが求められます。そのためには、動作評価や適切なキューイングを用い、クライアントが自身の体の状態を認識できるよう導くことが重要です。

インストラクターとしての指導の視点

インストラクターを目指す人の中には、「指導すること」と「自分がピラティスをすること」を混同してしまうケースが見られます。

自分がピラティスを行う際には、身体のコントロールを深め、ピラティスの基本を体感レベルで理解することが重要です。しかし、その過程での進捗には個人差があり、体の歪みや可動性によっては長い時間がかかる場合もあります。

また、体験した感覚をそのまま指導に落とし込むと、クライアントとの身体的違いにより、適切な指導に繋がらないことがあります。

指導の際には、主観的な感覚だけに頼らず、客観的な視点を持つことが不可欠です。クライアントの体を観察し、解剖学や自身の経験値を基に動きを分析し、その原因を論理的に考察することが求められます。

つまり、自分の経験を指導に活かすことはできても、それが指導の質を決定づけるものではありません。「自分ができるから指導も上手い」という考えは必ずしも成り立たないのが現実です。

感覚は、ピラティスにどれだけ取り組んできたのか、また自分の体についてどれだけの理解をしているのかによっても変わります。そのため、自分の感覚だけでなく、論理的・解剖学的な視点をしっかりと持ち、考えることが重要ではないでしょうか。

指導の現場での具体例

セミナーの際に、こんなことがありました。ハムストリングスと大臀筋が共同して動くことで股関節の適切な可動が促され、それによって骨盤の安定が図れるという説明をしました。そして、参加者と一緒にその動きを実践しました。

しかし、ある参加者は股関節の伸展時にハムストリングスが使われている感覚がなく、ストレッチ感をまったく感じないと言い、何度も質問してきました。その方にとって「ハムストリングスが使われる感覚」が理解できないことが、納得のいかないポイントだったのです。

こうしたケースは、指導現場ではよく起こります。クライアントが特定の筋肉の動きを正しく認識できない場合、インストラクターとしては異なるアプローチで説明し、感覚を引き出す工夫が求められます。身体の個体差を踏まえた上で、論理的な説明と実践を組み合わせながら、最適な指導を提供することが重要です。

個々の目標に向けたアプローチ

ピラティスの指導では、「他者と比較する」のではなく、「自分自身の正解を見つける」ことが大切です。

クライアントはそれぞれ異なる骨格、可動性、筋力を持っています。そのため、全員に共通する理想のポジションを押し付けるのではなく、各個人の持つポテンシャルを最大限に活かせるように指導することが重要です。

コンプレックスを乗り越え、機能的な強さを手に入れる

ピラティスは、ジョセフ・ピラティス自身がそうだったように、コンプレックスを乗り越え、自身の体を目標に向かって鍛え、強くするためのメソッドです。しなやかで強い筋肉を作ることで、機能的な動きが向上し、クライアントの可能性を引き出せます。

ピラティスを通じて、クライアントが新たな自分を発見し、自身の身体を意識的にコントロールできるようになるサポートをしていきましょう。

まずは体験!

本格派マシンを使ったピラティスをしてみませんか?

ピラティス体験レッスン

スタジオピラティスリムーブは、完全予約制!
あなたのための あなただけのスタジオです。

運動が苦手な方でもマシンを使うことで、からだの補助的役割をしてくれ、「ものさし」となり正しい可動域の中で無理なくトレーニングすることが出来ます。

オンラインレッスンも体験できます

オンラインレッスン体験

お申込はこちらから

Instagram