ピラティス指導者になる!— その前に考えるべきこと
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なぜ、ピラティス指導者になりたいのか?
この問いに、あなたは即答できますか?
「ピラティスが好きだから」「人に教えるのが楽しそうだから」「自由な働き方ができるから」——いろいろな理由があるかもしれません。ですが、本当に指導者として長く続けていくためには、この問いを深く掘り下げることが必要です。
ピラティスインストラクターは、ただエクササイズを教える仕事ではありません。クライアントの身体に触れ、その動きを導き、変化をもたらす責任のある仕事です。そのためには、自分自身もピラティスを深く理解し、学び続ける姿勢が求められます。
「ピラティス指導者になる」ことは、単なる資格取得ではなく、自分の人生の選択肢の一つ。だからこそ、なぜ自分がこの道を選ぶのかを明確にしておくことが、将来の自分の支えになります。
では、実際にピラティス指導者として活躍するためには、何が必要なのでしょうか?
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ピラティス指導者に求められるものとは?
1. 数日間の養成コースだけでなれる仕事ではない
「資格を取ればインストラクターになれる」と思っていませんか?確かに、資格は指導者としての第一歩です。しかし、実際にクライアントと向き合い、信頼を得て、結果を出すためには、資格以上の努力が求められます。
指導者として活動するならば、クライアントと同じ立場に立ち、自ら時間とコストをかけて学び続けることが重要です。自分が経験したことのない動きや感覚を、どうやって他人に指導できるでしょうか?
ピラティスは、単なる動きの指導ではなく、身体の変化を感じてもらうプロセスです。そのためには、自分の身体で体験し、実感しながら伝えることが不可欠です。
2. 何を伝えたいのか? ただの仕事ではないという意識
インストラクターの仕事は、単にエクササイズを教えるだけではありません。知識を伝えることはもちろんですが、それ以上に大切なのは「人間力」です。指導者としての誠実さ、クライアントに対する敬意、そして安心感を与えられるかどうか。
たとえば、あなたが指導を受ける立場だったらどうでしょう?
- なるべく知識が豊富な先生がいい。
- 偉そうではなく、丁寧に説明してくれる先生がいい。
- 説得力があり、信頼できる人がいい。
- レッスンの金額に見合ったサービスを提供してほしい。
- 「先生と生徒」の上下関係ではなく、対等に尊重してくれる人がいい。
- そして、結果を出させてくれることが何より大事。
クライアントが求めるのは「教えてくれる人」ではなく、「導いてくれる人」です。その覚悟を持って、この仕事に飛び込むことができるかどうか。それが、指導者としてのスタートラインです。
ピラティス指導者という仕事の特性
ピラティスインストラクターという職業を、他の仕事と比較して考えてみましょう。
他の仕事との違い:販売員と比較してみる
たとえば、アパレルの販売員はどうでしょう?
- 商品(洋服)は、すでに形が決まっている。
- マニュアルがしっかりあり、個人の裁量は少ない。
- 代わりの人がいるので、休みやすい。
- お客様は「洋服を買いに来る」という明確な目的を持っている。
一方で、ピラティスインストラクターはどうでしょう?
- プログラムを自分で考え、クライアントごとにカスタマイズする必要がある。
- クライアントの身体の安全を守る責任がある。
- 自分の指導スキルや人間性が、クライアントの継続に直結する。
- クライアントは「レッスンを受けに来る」のではなく、「結果を求めて来る」。
つまり、ピラティスインストラクターは、単にレッスンを提供する仕事ではなく、クライアントの人生や健康に影響を与える仕事なのです。
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インストラクターとして大切な視点
ピラティスインストラクターという仕事は、知識だけでは務まりません。実際にクライアントを指導し、試行錯誤しながら、自分自身も成長していく必要があります。
また、指導者は「教える」ことで自己肯定感を得られる職業です。だからこそ、時に「自分が全てを知っているようになってしまう」危険もあります。しかし、クライアントは指導者の自己満足のためにレッスンを受けるのではありません。
大切なのは、自分の視点だけでなく、クライアントの立場になり、さらにその上の視点(メタ視点)から身体を見つめること。
- 知識はもちろん、それだけでなく、実際の指導を通じて学び続ける。
- クライアントの変化を見極め、適切に導く力を養う。
- 自分のトレーニングを怠らず、体験を通じて説得力を持つ。
ピラティス指導者は、「指導しながら学ぶ」仕事だと思います。だからこそ、常に謙虚に、そして真摯に向き合うことが大切です。
最後に
ピラティス指導者になることは、単なる資格取得ではありません。クライアントに寄り添い、信頼を築き、結果を出せる指導者になるためには、日々の努力が必要です。
もし本気でこの道を目指すのなら、「なぜ指導者になりたいのか?」という問いを常に心に持ち続けてください。
そして、クライアントにとって「学びたい」と思える、信頼される指導者を目指しましょう。